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「A君、今日はありがとう。
鈴木さんから聞いたよ、これお礼の天カスと肉。」
「もしかして欲しいって誰かに…」
「聞いてたよ。因みに鈴木さんから」
シフト上がりのとき店長に声を掛けられ
後についてくとビニール袋に入れられた天カスと切り落とし？(要らないやつ)の肉を貰った
前休憩中に彼女と話していたときのことだろう
独り暮らしの俺は、まあ向こうにいたときも自分でしていたので料理がそこそこ得意なのだ
だから、廃棄になると聞いた天カスが欲しかった
応用効くからな！
でも肉は想定外だ…
こういうのって大体従業員が貰っていいものじゃないから
察してくれたのか店長が教えてくれた
「その肉はどうせ廃棄だし、とくにあげても問題ないから。でも他の人には内緒だよ」
「店長大好きです。一生雇って下さいね！」
「正社員は募集してないんだな〜」
そういって二人で笑っていると、何か思い出したように店長が「あっ」と声をだした
「それにさ、A君って渋谷寄りの◯×辺りで猫に餌上げてるでしょ」
「…なんで知ってるんすか？」
「佐伯さんがその近くのビルに住んでるから教えてくれた」
あげてもいいやつだったら分けてあげてよ
俺のプライベートと癒しが…
まってすっげ恥ずかしい
猫可愛いよね〜なんて言ってるけどそれどころじゃねぇ
ダリアにマリー、クロッカスにグラジオラス…
もう会いに行けねえかもだわ、ごめんなさい皆
「絶対他の人に言わないで下さいよ！」
「なんで？」
「ガキとか、可愛い物好きとか
猫にごはんあげるとか年寄りかよ…
みたいなこと絶対思われますって」
「ああーーー、それはじゃあ秘密にしておくね
(主婦層がA君と同じ日にシフトいれてるのはこういうことか)」
「じゃあ俺そろそろ帰ります。約束ですからね？」
「分かってるって…
はいお疲れ様、また月曜日ね〜」
店を出る際会釈をし、家に向かって歩きだした
猫に餌ごはんをやることは、前々からダメだと思っていた
でも可愛いからついつい与えてしまう
今ではもう週1で様子を見に行ってるくらいだ
(懐かれても可哀想だし、やっぱり
今日を最後にしとくか)
て思ってた矢先に
新しい猫に目を付けられるなんて聞いてないぞコノヤロー
「にゃーーーん"」
「いや可愛くないしダミ声で鳴くなし。
あとコイツらの飯奪ってんじゃねえ殴るぞ」
今日は可笑しなことが起こる日だ
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作者名：国宝。 | 作成日時：2018年7月14日 0時
