【暗殺教室】1mgの希死念慮【赤羽業】 (ページ25)

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修学旅行当日。

辞書にしか見えない修学旅行のしおりを抱えて、私は駅で迷子になっていた。

ホームどこ、とカルマくんに連絡しておいて、とりあえず見た事のある顔を探そうと辺りを見渡す。

ちら、と見えたその頭がカルマくんの髪色だった気がして、走って追いかける。

人混みをかき分けて見つけた制服が椚ヶ丘のもので、私は随分安心したらしい。

ようやく見つけたと声をかけたが、それが間違いだった。

「ねぇメッセージ見てないの？探したんだ…けど……… 」

振り向いたその姿に、ぴしりと思考が止まる。

髪色だけでなく、背格好もほぼ同じだったため気づかなかったらしい。

彼も驚いた顔をしたまま私を見つめる。

「 …ごめん人違い」

「待ってくれ綿貫さん」

呼び止められて驚く。

浅野くんはこんな日にE組の顔なんて見たくないだろうと思っていたが、そうでもないのだろうか。

「何か？」

「 …はぁ。前から思っていたが綿貫さんは素直じゃないんだな」

「馬鹿にしてる？」

思わず言い返す。

彼の意図が分からないまま、このままだと電車に遅れてしまうと私も焦り始める。

「道に迷ってるんだろう？僕に助けを求めればいいじゃないか」

A組であり、しかも生徒会長でもある浅野くんからそんな言葉が聞けるとは思わなかった。

よほど見苦しかったのだろう、彼がE組に手を差し伸べるなど有り得ないはずだ。

差し出された手を掴もうとした瞬間、ばしっと横から伸びてきた手が私の手を奪って走り出す。

引っ張られるがままに私の足も走り出す。

前を走る赤い髪は、今度こそ見間違えようがなかった。

「はあ、はあ…。何とか間に合った… 」

「 …あの、ありが」

「なんで浅野といたの？」

人の謝礼を遮るのはよくないと思うんだが。

ジトッと見つめても撤回されそうにないので、私はなぜそんなことを聞くのだろうと考えつつ答えてやる。

「迷子なのを助けてくれようとしてたから？」

よく分かんないけどね、と付け加えると、彼は一瞬何かを言おうとして、それから大きくため息をついて見せた。

「そうだよね、Aはそういう奴なの知ってたはずなのに」

「カルマくんが私の何を知ってるの？」

「そういうトコ」

全く意味が分からない。

私は彼の相手をするのをやめて、潮田くん達の座席の方に向かった。

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