19mg ページ19
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「 …綿貫さん、ほんとにそれ全部食べるの? 」
「 そうだけど 」
夢の1.2kgを前にした私と、青い顔してこっちを見ている赤羽業。
「 甘いものは別腹…ってやつ?綿貫さん甘いもの好きだよね 」
なんで知ってんだこいつ。
「 そんな不審そうな顔しないでよ。昼飯いっつも甘いお菓子だし、飲み物も甘いのばっかでしょ?俺以外に煮オレ飲んでんの初めて見たし 」
なんだかいつも見られてるみたいで寒気がする。
表情から私が引いていることを察したのか、彼は慌てて弁明する。
「 見てたわけじゃなくて、えっと、隣だから視界に入るでしょ?そんな引いた顔しなくていいじゃん 」
その様子がなんだか面白くて、笑いが込み上げてくる。
「 ふ、ふふふ、あはははは!!赤羽業って面白い!!そんな必死に弁解しなくても…あはは!! 」
彼は私のそんな様子をぽかんと見つめたまま、数十秒の間固まっていた。
そして彼も笑い出すと、
「 綿貫さん俺の事「赤羽業」って呼んでんの? 」
と聞いてくる。
そこで思わず、考えていたことをそのまま口に出してしまっていたことに気づいた。
「 ごめん、つい 」
「 いや気にしてないけど…呼びにくいでしょ、カルマでいいよ 」
「 …呼び捨てはハードル高いから、カルマくんでいい? 」
「 あー…うん、じゃあ俺もAって呼ぶね 」
君は呼び捨てなのか、まぁいいけど。
なんとなく2人とも黙り込む。
その時、近くの客の会話が耳に入ってきた。
「 ねぇあの子たち、カップルかな 」
「 窓際の席の子でしょ、可愛いよね 」
「 放課後デートなんて憧れる! 」
「 お似合いだよねぇ 」
赤ば…じゃなかった、カルマくんにも聞こえているのだろうか。
なんだか気恥ずかしくなってくる。
「 どしたのA、顔真っ赤だけど 」
分かってて聞くなよ、と文句を言おうとして気づく。
カルマくんの耳もほんのり赤い。
なぁーんだ、君も照れてんじゃん。
「 なんでもない。カルマくんもパフェ1口食べる?ほら、あーん 」
ニヤニヤしながら口元にスプーンを寄せてやれば、彼もからかわれていることに気づいたらしい。
少しの葛藤の後、ぱくり、と食べて唇についたクリームを舐めとる。
「 ん、おいし 」
きゃあ!!とさっきの客の悲鳴が聞こえる。
私たちのいじり合いは、互いが正気になるまで続いた。
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mamama(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!応援してます!! (4月11日 22時) (レス) id: 7a0d9b825d (このIDを非表示/違反報告)
たに - 面白かったです! (3月19日 20時) (レス) @page26 id: 9b7538881a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:9109 | 作成日時:2024年1月27日 16時