【暗殺教室】1mgの希死念慮【赤羽業】 (ページ13)

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次の日の朝。

「 …で、その毒薬を作って来いって言われたんだ」

「はいっ！！理論上はこれが一番効果があるって！！」

「毒物の正しい保管方法まで漫画にしてある。相変わらず殺せんせー手厚いなぁ」

「きっと私を応援してくれているんです。国語なんてわからなくても私の長所を伸ばせばいいって」

本当にそうなんだろうか。

「あ、来たよ、渡してくれば？」

「はい！！」

わくわく、といった様子で超生物に近寄る奥田さん。

「先生これ………… 」

「さすがです…では早速いただきます」

その笑顔が、いつもと違う気がして。

酷く、嫌な予感がした。

「 …ヌルフフフフフ、ありがとう奥田さん。君の薬のおかげで…先生は新たなステージへ進めそうです」

「 …えっ、それってどういう… 」

咆哮、閃光。

咄嗟に腕で目を覆い、目をぎゅっと瞑る。

目を開けて最初に視界に飛び込んできたのは、どろどろに溶けた超生物だ。

「君に作ってもらったのはね、先生の細胞を活性化させて、流動性を増す薬なのです」

超生物は、そう言って片岡さんの机の中に潜り込む。

「液状ゆえに、どんなスキ間も入り込むことが可能に！！しかもスピードはそのままに！！さぁ殺(や)ってみなさい」

クラス中がパニックになった。

飛び回る超生物、飛び散るBB弾とそこかしこで振り回されるナイフ。

奥田さんは焦ったように声を出す。

「だっ…騙したんですか殺せんせー！？」

「奥田さん、暗殺には人を騙す国語力も必要ですよ」

「えっ… 」

授業が、始まる。

「どんなに優れた毒を作れても…今回のようにバカ正直に渡したのでは、暗殺対象(ターゲット)に利用されて終わりです」

「渚君、君が先生に毒を盛るならどうしますか？」

急に話を振られた潮田くんは困った声を洩らしつつも、おそらく正解に近いであろう答えを出した。

「 …うーん、先生の好きな甘いジュースで毒を割って…特製手作りジュースだと言って渡す……とかかな」

「そう、人を騙すには相手の気持ちを知る必要がある。言葉に工夫をする必要がある。上手な毒の盛り方、それに必要なのが国語力です」

奥田さんの学びは、きっと大きいものになるのだろう。

さっきのパニックで床に散らばった筆箱を片付けながら、そんなことを思った。

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