2、勘違いの末路 ページ3
乗り物に乗せられた時に、ふと何かがおかしいと思った。
何かを忘れている、とも。
恐らく目的地であろう島にたどり着いた時、私はそれを思い出して絶叫する羽目になる。
「家に帰らなきゃ！！！！！」
「静かにしろ」
後ろから頭をはたかれた。
首がもげるかと思った。痛い。
移動の最中、彼は無陀野無人と名乗った。
名が体を表すってこういうことなんだ、と思った。
無陀野さんは「桃関」と「鬼関」について説明を簡潔に済ませると、私に質問する時間をくれた。
説明を飲み込むのに時間がかかった私は、自分のことを何も説明していないことをすっかり忘れていた。
馬鹿と言ったら殴るけど、阿呆くらいなら許してもいいと思う。
「私もそこに行くの？」
鬼じゃないけど。
「審査次第だな」
言葉が足りないということが、如何に恐ろしいことかを
「わぁ頑張りまーす！」
私は知らなかったのだ。
その結果、
「ぅ………ぐ、ぁ…………」
「生物の本質は死に際に出る」
「こっちの方が手早いし、お前も楽だろう」
「この状況を打開しろ、出来なきゃ死ね」
私は無陀野さんに首を絞められていた。
直前が少年…四季くんの審査だったらしい。
後からそれを知った私は、彼を数発、恨みを込めてぶん殴ることになる。
「………」
「…おい、血蝕解放は」
「………………」
「気絶してやがるな」
たまたま気絶して死なずに済んだものの。
人間である私に出来ることなどなかったのだから。
こんな審査になった原因は絶対に許すわけにはいかなかったのである。
もちろん、自分が言葉足らずだったことは棚に上げておく。
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作者名：9109 | 作成日時：2023年4月26日 17時
