とても儚い［須貝駿貴］

・今後2・ ページ32

ｽｶﾞｲｻｲﾄﾞ

須「あの、」
父「すまん、そろそろ本題やな。東京でもし万一のことがあったら、…私らが着くまで、君にAのことを頼みたいんや」
須「…万一、ですか」
父「ほんとはそんな、言い方が悪いけど他人任せにしちゃいかんことや。でもなぁ、Aが最後東京で、東大で過ごしたい言うと」
須「わかってます」
そんなに苦しそうな顔で言わないでください。

「どうか、貴方だけは。Aの前で、泣かないであげてください」

こんな若造が何を、と思うかもしれない。
でも、Aは。
須「あぁ言ってるけど、A、ほんとにお父さんのこと尊敬してるし大好きみたいですよ」
お父さんはきょとんとしてる。
父「いや、あの子に限ってそれは」
須「道中ずっと聞かされてました。貴方との思い出を」


(うちの父さん公務員なんです。いっつも忙しそうで何も構ってくれなかったけど)


(尊敬…はしてますね、ほんとにかっこ良かった。)


そこまで言って初めて、お父さんの目から涙が溢れた。
父「A…何でそんな、早く…」

俺は、
Aが居なくなった時、冷静には居られないだろう。
でもせめて、涙は見せないようにしたいなぁ。
それがカッコ悪いとかではなく。

ただただあの子に心配をかけるだろうと思ったからだった。

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