前しか見るな ページ5
私達Mr.KINGのジャニワ出演が決まった。
しかし今回、Princeの名前は無かった。
「仕方ないだろ。…その分頑張ろ」
少し気が落ちた私を見かねて紫耀はそう声をかけてきた。
私だっていつもならこんな事思わないけど、キンプリに途中加入した私だけが甘い蜜を吸っているような気がして嫌だったんだ。
そんなモヤモヤも稽古が始まってしまえば無くなるのだが、モヤモヤがなくならない奴もいる。
「廉、どうした?」
「Aくん……、いや、今日in大阪の収録日やなぁって」
廉は大阪が大好きで、関西Jrが大好きだ。
そんな廉が年に1回のin大阪には呼ばれず、東京で稽古の毎日。
寂しくなる気持ちも分からなくはない。
「まぁそれはな、仕方ねぇかなぁって思えるんよ。俺が頑張れば関ジュはもっと盛り上がると思っとるから」
隣に腰をかけると、廉はポツリポツリと本音を溢し出した。
「……紫耀は寂しくないんかな、今の状況」
海人とバトンの練習をしている紫耀に目をやると、楽しそうに笑っている。
……名古屋から紫耀を連れ出したのは私だ。
あのまま名古屋にいれば、紫耀はまだ関ジュとして活動していたかもしれない。
でもこの話は誰にもしないって二人で決めたから廉にも言えないし、なによりあいつは私と同じ気持ちを持ってるだろう。
「俺らは有名にならなきゃ終わりだよ。振り返ってる暇なんかない」
分かってるけど納得はしたくないのか、唸りながら顔を伏せる廉の頭を乱暴に撫でて立ち上がる。
……廉に言いながらも、自分に言い聞かせてる。
前しか見るな、私。
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作者名:7 | 作成日時:2018年10月8日 20時