29話 ページ32
聞こえてくる音楽に耳をすませるため、フードをとる
いつもはフードを被って顔を隠しているが、今日はもう陽も暮れているし、祭りのせいで人の量も多いから隠す必要もない
露わになった２つの緑色の目が、じっとりとその女を観察するように見つめる
捜索の際渡された資料と同じ顔と特徴
やっと見つけた、あれがグルッペンの探していた女か
「ゾムさ〜ん、そっちは見つかったぁ？」
ひらひらと手を振りながらそう言って近づいてくるのは、二手に分かれて目的の奴を探していたはずの大先生だ
さっき探し始めたばっかりやん…
どーせ見つからんと思い、早々に切り上げその辺の女を引っかけようとしているのだろう
「大先生、ほんまに目ぇ付いてるんか？居るやん、あそこ」
「へ？」
そう言って俺が指をさしたのはここから少し離れた場所にあるステージの上
ステージの周りには楽しそうに踊ったり自由に歌ったり、はたまたのんびり飲み物を片手に聞き入っている人も居る
そしてそのステージの上にいる女は、嬉しそうに、そして楽しそうに楽器を演奏している
…確か、バイオリンって名前やったかな。教養のない俺には楽器の名前一つすらあやふやだ
…大先生からの返事がない
そう思って横にいる大先生の顔を覗き込めば、彼は今まで見たこともないような表情をしていた
懐かしさや愛おしさ、そして少し悲しそうな顔をしている。その瞳からは今にも涙が溢れそうだ。え、どういう感情なんそれ…
「お〜い、大先生？」
「あっごめんなゾムさん。…演奏が終わったら連れて帰ろか」
「…おん」
そう言ってまたステージの方を見つめる大先生
仕方が無いので、俺も意識を音楽へと戻す
彼女の演奏はすごい、と、思う…
全然音楽というものに縁がなかった俺でさえも無条件に惹き付けられ、その音を聞いたが最後、彼女の世界観に引き込まれてしまうのだ
彼女の演奏にはそんな魅力があった
どんな風にしたらあの木でできた物体からそんな感情を持った綺麗な音が出てくるのだろう
そんなことを考えていると、突然大先生の通信機が鳴る
「……おん、分かった。…すぐ戻るわ。
ゾムさん、俺の管轄してるとこでトラブルがあったみたいですぐ戻らなあかん。申し訳ないねんけど、彼女を連れて帰る役割、任せてもええか？」
「……ええけど」
助かったわ！頼むで！と言って颯爽と本部へ戻っていった
しまった、勢いで返事をしてしまった
どないしよ、俺…人見知りなんやけど…
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はゆり - エーデルワイスと言ったらあの曲が流れてきますねぇ。結構あのお話好きなんです！まぁそんなことよりもお話ものすげぇ面白いです！これからも頑張って下さいましぃ (2023年5月1日 21時) (
レス) @page10 id: 6422253908 (このIDを非表示/違反報告)
年中微熱(プロフ) - 兎どんさん» コメントありがとうございます！兎どんさんの気持ちがこもったコメントを読んで心が暖かくなりました。この作品を読んでいただき本当にありがとうございました。第二シーズンの方でもよろしくお願い致します！ (2019年11月8日 18時) (レス) id: 81e47a6c6b (このIDを非表示/違反報告)
兎どん(プロフ) - 1シーズン目、全て読ませて頂きました！とても素敵なお話をありがとうの気持ちでいっぱいです…。箱推しなのですが強いて言うなら3強が好きなんですが、これを読んでると総統様一筋になりそうなレベルで苦しいですw 2シーズン目を楽しみにしています！！！！ (2019年11月8日 12時) (レス) id: 292a211385 (このIDを非表示/違反報告)
年中微熱(プロフ) - 夢花(仮垢)さん» コメントありがとうございます。これからも好きと思っていただけるよう精進してまいりますので、続編でもどうぞよろしくお願い致します。 (2019年11月4日 19時) (レス) id: 81e47a6c6b (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - はぇぇぇぇええええ、好き（） (2019年11月3日 20時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：年中微熱 | 作成日時：2019年9月29日 3時
