【ダンキラ!!!】コーチ科のお人形さん【TOXIC】2nd (ページ19)

今日:4 hit、昨日:3 hit、合計:7,728 hit

68話ページ19

sideA

平日ですが、学園長先生の許しを得て寮を後にします。

車に揺られること小一時間。

…どうしよう…

入っていいかな…

入ろうかな…

恐る恐る入ってみました…

A『…すみません、あの…』

｢はい、どうされました？｣

A『し、白銀戎(かい)先生って居ますか…』

｢白銀先生ですか？はい、いらっしゃいますが…ご予約の方は…｣

A『してないです…』

｢少々お待ちくだ…｣

A『Aが来たとだけお伝えして頂けますか…？』

｢…？は、はい。｣

どこか暇を潰せる場所は…

Noside

戎｢院内にタバコ吸える場所はないもんかね～。｣

長身の痩せた男が言った。

｢あるわけないでしょ。ここ病院ですよ。｣

銀髪の長身の男が呆れるように言った。

戎｢厳しーねー。マコちゃん。｣

ふざけてからかってるように笑う。

｢その呼び方やめてください。｣

嫌そうに返事を返す。

｢あ、あの…！白銀先生はいらっしゃいますか？｣

受け付け担当の医療事務が怯えながら来た。

｢奥のスペースに居るかと……｣

入口付近の看護師が言った。

戎｢なーに？｣

呼ばれたと思い入口付近に近寄る男。

｢言伝を頼まれまして……｣

怯えながら受け答えする。

戎｢へー、誰から？｣

｢白の長い髪の女の子が『Aが来たとだけお伝えして頂けますか？』と…｣

男は目を見開いた。

｢良かったじゃないですか、愛娘が逢いに来てくれて。｣

さっきまでそばに居た男がそう言った。

戎｢もう、そんな時期だったネー…その子は待合室？｣

この時期は何がなんでも帰ってくる律儀な子。

｢い、いえ…病院を出られてて…｣

戎｢男の子は居た？｣

男が言う男の子はミステリアスでちょっと変わってる。

でも、娘を守っているガーディアンだと男は思う。

戎｢そう……実家に行ったのかな…｣

ケータイを取り出して電話をかける。

戎｢もしもし、A？パパだけど。｣

A【仕事休み取ったって言いましたよね！？】

戎｢ごめんて～、明日は取ったんだよ。5時には帰る！絶対帰るから、ね？ほら！ママも帰ってくるし！｣

男は電話を切った。

戎｢マジ本当に可愛い!!俺の誕生日に帰ってきてさー！？｣

｢落ち着いてください。いつもと違いすぎて新人が腰抜けてます。｣

戎｢んー、慣れて。｣

｢……頑張れ。｣

隣の男の顔は呆れと哀れみが滲み出ていた。