街の住人１ ページ4
目を開けると、昨日と何ら変わらない景色。つまり天井。
──私、人形になっちゃったんだ。
眠っても覚めなかった夢に、私は溜め息を吐く。
起き上がりベッドから降りると、身体はもう慣れたのか、何も感じなかった。
「おはようございます」
階下へ行くと──私が寝ていたのは２階だったようだ。昨日はそのまま眠ったので気付かなかった──朝食の用意をするオレイユと、まさに今起きましたという顔のミティがいた。
「あーAーおはよー……」
ミティは、既にダイニングチェアに座っていた。欠伸をしながらの挨拶である──低血圧なのか？
「おはよう、Aさん。もう少しだからちょっと待っててね」
一方のオレイユは、ベーコンエッグを焼いていた。
よく見ると、使用しているフライパンはステンレス製ではない。恐らく、プラスチック。
子どものおもちゃにしてはよく出来ているほうだが、生活する上では不便だろう。
──火は出ていないのに焼けるベーコンエッグ。
──焼けているはずなのに熔けないプラスチック製フライパン。
うーむ、謎である。
所詮人形の街。もう何でもアリなのか。
そうこうしているうちに、朝食がダイニングテーブルに運ばれた。
「あの、手伝いましょうか？」
「いいのよぉAさんは座って待ってて。もう完成だから」
申し訳無いが、ゴリ押して手伝わせてもらうのも悪い。
私は大人しく木の椅子に腰掛けた。
──これも、おもちゃなんだよなぁ。
全てプラスチック製の家具は、思いの外使い勝手が良かった。
(元の世界に帰ったら、おもちゃ会社を称賛しまくろう)
と、心に決めたのだった。
「あの」
私はオレイユが席についたのを見計らって話を切り出した。
「私、元いた世界に帰りたいんです」
「それは無理だと思うわ」
オレイユが即座に否定した。
「どうしてそう言い切れるんですか！？」
つい、かっとなって言い返す私。
しまった、と思った頃には、オレイユが悲しげな顔でこちらを見つめていた。
「ご、ごめんなさい」
「せっかくのベーコンが冷めて固くなっちゃうわ。早くいただきましょう」
「「いただきます」」
私とオレイユは一言も話さず食事を進めた。
雰囲気は重い。気まずい。
(居候一日目から何やってるんだ、私)
後々から、どうしようもない後悔が襲ってくる。
初日からこんな風では、今後もうまくやっていけるかどうか不安だ。
「今日は街を案内してあげる！」
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葉月だんご(プロフ) - 麦カケさん» 感想ありがとうございます〜！ 私も書いてるとき、主人公の正体をバラそうか隠そうか迷いました（笑） 今後の展開にもぜひ、ご期待ください(*´ω`*) (2020年12月30日 23時) (
レス) id: 1261bb0f48 (このIDを非表示/違反報告)
麦カケ(プロフ) - 初めまして。人形達が持ち主だって気づいてない所がせつないです(でもそう言う設定好きです)これからどう言う展開になっていくのか気になります。無理せず作者様のペースで頑張ってください！ (2020年12月30日 17時) (レス) id: ea0439ca7f (このIDを非表示/違反報告)
葉月だんご(プロフ) - 千々さん» コメントありがとうございます♪ お気に召していただけたようで何よりです！ この感想を糧に引き続き更新がんばりますので、お付き合いいただけたら幸いです〜(*´艸｀*) (2020年3月30日 17時) (レス) id: 3d624ae683 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - オリジナルでいい作品を久しぶりに見つけられました！ 人形たちの微笑ましい生活をこれからも見ていきたいと思います！ (2020年3月15日 13時) (レス) id: df88b28f21 (このIDを非表示/違反報告)
だんご(プロフ) - ぐうたら猫さん» コメントありがとうございます〜！ 気に入っていただけたようで何よりです♪ ネコのぬいぐるみってカワイイですよね← (2020年1月8日 2時) (レス) id: 3d624ae683 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葉月だんご | 作成日時：2019年10月19日 12時
