森の記憶１ ページ23
『今日は夜空がキレイだし、外で話そっか』
そう言ったミティと私は家の外へ出た。
彼女の言う通り、今日は星がたくさん見える。
「Aには、隠し事したくなかったし。それに、いつかは話すべきかなーって、思ってたし」
独り言ともとれるその言葉は、ミティが自分自身に言い聞かせているようでもあった。
私は静かに、ミティが次に口を開くのを待った。
「……あのね。ミティがね」
「……うん」
ミティは小さく首を振り、言い直した。
まるで嗚咽を堪えている、といった表情だ。
「マリエルが行方不明になったのはね、ミティのせいなの」
「で、でもミエルさ……ミエルも、ミティちゃんのせいじゃないって」
「違うのっ！！」
言葉を発したのがミティなのは確実なのに、その声はミティのものではないようだった。
遮られた私は思わずビクッと体を震わせた。
「あの日、ミティとマリエルはケンカしたの……それも、鬼ごっこをするかかくれんぼをするか、なんて些細な理由で」
「……」
「でも、拗ねたマリエルは森に入っていって……私は追いかけなかった。もう知らないって思って、家に帰ったの。そうしたら、陽が沈んでから、ミエルおじちゃんが家に駆けこんできて」
マリエルが戻ってきていないんだが、って。
「街の住人総出で探したの。森は危険なんだって、聞いてたのに、ミティがマリエルを引き留めなかったから」
「それは……」
「ミティがマリエルを置いて行った、から」
半ば吐き出されたセリフに顔を上げると、ミティの瞳から大量の雫が溢れていた。
ポロリ、ポロリととめどなく零れる液体に、私はかける言葉を失った。
「だから……っ、マリエルがいなくなったのは、ミティのせい。もしかしたらもう────」
その続きをミティは口にしなかったが、彼女が何を案じているかなんて、手に取るように分かった。
洋服の袖で拭っても、次から次へと流れる涙。ふと、ぬいぐるみでも泣くんだ、と見当違いの考えが脳内に浮かぶ。
──シュピールの世界観は未だ飲み込めない部分が多くあるが、これだけは伝えたい──！！
私は意を決してミティに話しかけた。
「マリエルは生きてる。この世界の──はたまた違う世界の、どこかで」
「……『ドゥオールの迷子』の逆、……ってこと？」
「え？」
そのまで深く考えていなかったが、確かにそう表現できる。
というか、これは──……
「ミティちゃん、『ドゥオールの逆迷子』って、あり得る？」
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葉月だんご(プロフ) - 麦カケさん» 感想ありがとうございます〜！ 私も書いてるとき、主人公の正体をバラそうか隠そうか迷いました（笑） 今後の展開にもぜひ、ご期待ください(*´ω`*) (2020年12月30日 23時) (
レス) id: 1261bb0f48 (このIDを非表示/違反報告)
麦カケ(プロフ) - 初めまして。人形達が持ち主だって気づいてない所がせつないです(でもそう言う設定好きです)これからどう言う展開になっていくのか気になります。無理せず作者様のペースで頑張ってください！ (2020年12月30日 17時) (レス) id: ea0439ca7f (このIDを非表示/違反報告)
葉月だんご(プロフ) - 千々さん» コメントありがとうございます♪ お気に召していただけたようで何よりです！ この感想を糧に引き続き更新がんばりますので、お付き合いいただけたら幸いです〜(*´艸｀*) (2020年3月30日 17時) (レス) id: 3d624ae683 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - オリジナルでいい作品を久しぶりに見つけられました！ 人形たちの微笑ましい生活をこれからも見ていきたいと思います！ (2020年3月15日 13時) (レス) id: df88b28f21 (このIDを非表示/違反報告)
だんご(プロフ) - ぐうたら猫さん» コメントありがとうございます〜！ 気に入っていただけたようで何よりです♪ ネコのぬいぐるみってカワイイですよね← (2020年1月8日 2時) (レス) id: 3d624ae683 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葉月だんご | 作成日時：2019年10月19日 12時
