森の管理人2 ページ19
「俺も手伝おう」
ひょいとカバンを持ち上げたミエルは、片手で軽々と担ぎ上げた。私が今まで両手でギリギリ持てていた重さとは到底思えない。やっぱり森のくまさんは力持ち……って、違うそうじゃない。あんぐり口を開けている場合じゃないよ、私。
「そんな、悪いですよ……! アインスが荷物置いて行っちゃったのは私が原因でもありますし……!!」
「その原因とやらは、聞かないほうがいいかい?」
「……はい、今はちょっと────ですが」
ですが、と私は続けた。
「きっといつか──それが数日後か、三年後になるかはわかりませんが──ミエルさんにも、お話しします。それまでは、待っていてください」
「わかった。ついでに、呼び捨てで良いからな」
「えっ、さん付けしていたいです」
「じゃあこの荷物は渡さない」
「それは困りますっ」
「冗談だ、本当はさっきA嬢ちゃんを驚かせちまった詫びだ」
「それは……」
過去の痴態を思い出してしまって、顔を俯かせる。顔、赤くなってるだろうなぁ……
荷物を返してもらおうにも彼の顔と同じ高さにあるカバンは、私の身長では届きそうにない。ここはお言葉に甘えて、と私はミエルに感謝の言葉を口にした。
「あの、本当にありがとうございます。お礼に、後でうちへ寄って行ってください」
まぁ私の家ではないんですけど、と付け足して、アインス宅までの道のりの歩みを進めた。
アインスの家の戸を叩くと、案の定無表情な──それでも不機嫌そうなオーラを放ったアインスが応じた。やはりさっきのことを根に持っているらしい。
何も、そこまで怒ることないじゃないか。そう言いたい思いも山々だったが、これ以上関係を
「あの、さっきは本当にごめんなさい。あなたが望むのなら、私は……マッグの絵のこと、誰にも話さないから」
後半は、後ろで待つミエルに聞こえないように小声で言う。幸い、ミエルは遠くの空に輝き出した一番星に夢中で、私たちの話は聞いちゃいないようだった。アインスは相変わらず表情を変えず、ただ「今は考えさせてほしい」とだけ。
(……ん? ってことは、マッグ計画が進む可能性があるかも、ってこと?)
問い詰めようにも庭先では話せないし、気付けばアインスは扉を閉めていた。あっ、今カチッていった。カギ閉められた……。
悲しむ私の肩に手を置き、ミエルはニッと口角を上げた。
「嬢ちゃんの家、招待してくれるんだろ?」
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葉月だんご(プロフ) - 麦カケさん» 感想ありがとうございます〜! 私も書いてるとき、主人公の正体をバラそうか隠そうか迷いました(笑) 今後の展開にもぜひ、ご期待ください(*´ω`*) (2020年12月30日 23時) (レス) id: 1261bb0f48 (このIDを非表示/違反報告)
麦カケ(プロフ) - 初めまして。人形達が持ち主だって気づいてない所がせつないです(でもそう言う設定好きです)これからどう言う展開になっていくのか気になります。無理せず作者様のペースで頑張ってください! (2020年12月30日 17時) (レス) id: ea0439ca7f (このIDを非表示/違反報告)
葉月だんご(プロフ) - 千々さん» コメントありがとうございます♪ お気に召していただけたようで何よりです! この感想を糧に引き続き更新がんばりますので、お付き合いいただけたら幸いです〜(*´艸`*) (2020年3月30日 17時) (レス) id: 3d624ae683 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - オリジナルでいい作品を久しぶりに見つけられました! 人形たちの微笑ましい生活をこれからも見ていきたいと思います! (2020年3月15日 13時) (レス) id: df88b28f21 (このIDを非表示/違反報告)
だんご(プロフ) - ぐうたら猫さん» コメントありがとうございます〜! 気に入っていただけたようで何よりです♪ ネコのぬいぐるみってカワイイですよね← (2020年1月8日 2時) (レス) id: 3d624ae683 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葉月だんご | 作成日時:2019年10月19日 12時