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てってれー ページ2

爆撃、銃音、誰かの叫び声。


ポートマフィアの武闘派組織『黒蜥蜴』に、書類及び報告書係として配属された当初と比べれば、その音達は樋口の日常の一部として馴染んでいた。今回の彼等の仕事は、ポートマフィアに隠れて麻薬売買をしている組織の始末である。

見るも凄惨な光景は、うら若き女性としてはまだ見慣れたものではないが、自分に課せられた報告の仕事をこなすため、現場の状況は確認しなければいけない。

砂埃りと噎せ返るような鉄の匂いの中、樋口は部下達に待機するように言うと、その場に足を踏み入れた。



カツン、カツン、と己の足音だけが響く。

どうやら皆殺しにしてしまったらしいと考えた刹那、無造作に置かれていた木箱の影から気配を感じ、樋口は銃を構える。武闘派では無いと言っても、樋口はポートマフィアの一構成員。護身のため銃は常に持っているのだ。しかし、もし相手も武器を所持していたら、不利なのは此方だ。心臓が早鐘を打つ。




「……はえ?」

樋口の口から気の抜けた声が漏れた。

ひょこっと飛び出してきたのは1人の幼女だった。

汚いものなど何も知らないような目で、樋口の手に握られた銃を不思議そうに見ている。

いつからここに? 保護者は? 黒蜥蜴の誰もこの子に気が付かなかったのか?浮浪児にしては綺麗な格好を──

あまりに予想外の出来事に固まって動かない樋口に首を傾げる子供。暫く後、その子供はそこらに転がる骸のうちの一つからじわじわと広がる赤い水溜まりに興味が移ったらしく、それに触れようと小さな手を伸ばした。

「あっ、ダメ!」

それはある程度の良識を持った大人であれば当然の反応とも言えた。はっと我に返った樋口は、子供の手を掴み、小さな手が血で塗れるのを防いだのだ。そしてもう一度「汚いから、触っちゃ駄目」ときょとんとする子供に言い聞かせる。

こくりと素直に頷いた子供に樋口は安堵のため息を吐いた。髪も服も真っ白なのに、瞳だけは黒い子供だ。そうして子供の顔を改めて見て、目を見開く。


「芥川……先輩?」

『芥川龍之介』──黒蜥蜴を指揮する権限を持った樋口の上司だ。子供の顔が、彼と良く似ていたのである。

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糖莉 - めっちゃくちゃ面白くて一気読みしてしまいました。最後がとても感動?してグッときました。この作品に出会えてとても良かったです! (2022年1月30日 22時) (レス) @page50 id: b9fd4d8946 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 完結されてから時間が経ちましたが、どうしても感想を伝えたくなり書き込みました。すごく好みの作品でした。最後に芥川さんが名前をつけようとするところがグッときて仕方がありませんでした。こんなに良い作品に出会えて嬉しかったです。ありがとうございました (2021年8月7日 18時) (レス) id: e438c140c8 (このIDを非表示/違反報告)
こめ(元団子)(プロフ) - dekuさん» ありがとうございます!! 完結した今でもこうして感想が来るのは本当に嬉しいです!!敦くんの話はもっと丁寧にやりたかったな〜と思っていましたが話数の都合で断念(-人-) (2019年6月30日 13時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
こめ(元団子)(プロフ) - しぇるふぃあ。((芦原晴))さん» 語彙力のある感想に死にそうになってます……一気読みお疲れ様でした本当にありがとうございます幸せです 変わったとはいえ芥川にとって我が子に上手く愛情を注ぐのはきっと難しい事で将来は色々苦悩したりすると思います笑 (2019年6月30日 13時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
こめ(元団子)(プロフ) - 秋霖時雨さん» ありがとうございます! 彼は自分の事を「卑しい身の上」だと思っている部分は多少なりともあって 自分の血を引いた子供は不幸になる と考えいた芥川が諸々吹っ切れた台詞だったりします(こっそり) (2019年6月30日 13時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こめ(元団子) | 作成日時:2018年10月14日 18時

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