月光 (ページ30)

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第30話 * 沈黙ページ30

-二宮和也-

しばらくの間、僕達の楽屋には
今までにない空気が流れていた。

あんな冷たい目の大野さん、初めて見た。

みんなもその場から動けないでいる。

それに大野さんは隅っこで寝てしまった。

雅紀「3日前どこに行ってたのか聞けなかったね。」

和也「そうですね。」

雅紀「んー。」

わかるはずもない事を考え始めた相葉さんを
ほおっておいて潤くんを見る。

潤「俺なんであんなこと言っちゃったんだろう。」

そう呟いた潤くんは
今にも泣いてしまいそうだった。

翔「松潤...。」

潤「リーダーが抱えてる悩みの方が大きいはず
なのに。ただ力になりたかっただけなのに。」

僕達にとって、物音ひとつしない楽屋は初めてで。

今まで気にしたことのなかった時計の針が動く音。

チクタク、チクタク...。

その音だけが耳に響いた。

誰ひとり話すことなく、時間だけが過ぎてゆく。

翔「そろそろ撮影の時間だし
起こした方がいいんじゃない？智くん。」

沈黙の中口を開いたのは翔さん。

こういう時頼りになる。

和也「大野さん、起きて。」

智「...にしないで。」

和也「え？」

智「僕を置いて行かないで...。」

和也「大野さん？」

寝てるの？もしかして寝言？

でも大野さん、今自分のこと“僕”って..。

トントン ))

スタッフ「すいません。今日撮影中止です。」

中止？なんで？？

翔「何かあったんですか？」

スタッフ「近くで能力者が出たみたいなんで。」

また能力者...。

翔「そーなんだ。わかりました。」

翔さんが椅子に座って一息ついた。

翔「だってさ。どーする？」

潤「よし！帰っちゃおうか。」

この時笑っていた潤くんだけど
僕には無理に笑っているようにしか見えなかった。

雅紀「俺も帰ろー♪」

翔「俺も。ニノは？」

和也「僕はまだいます。大野さん心配ですし。」

雅紀「ニノはお母さんみたいだね。」

翔「じゃあ、智くんお願いね。」

もちろんですって顔をしてやった。

みんなが帰ったあと、僕は大野さんの隣に座って
寝顔を見つめていた。

和也「可愛いったらありゃしないんだから。」

このおじさんはほんと
実は僕より年下だったりして。

そんなわけないか。

それにしても、さっきのは一体何だったんだろ。

もしかしたら大野さんは
何かを隠しているのかもしれない。

僕達が知らない何かがあるのかもしれない。

和也「もっと僕達を頼ってくださいよ。」

僕じゃ頼りないですか...？

To be continued ... 。