番外 HAPPY HALLOWEEN2 ページ18
「闊歩する悪霊共に此方が人間だとバレないように始まった習慣なのだよ。だから一般的に�犇欧蹐靴き瓩箸気譴詈�に仮装するのが望ましい。よって、その日に限っては、隣に居るのが生者なのか墓から蘇った死者なのか区別がつかない訳さ」
「太宰さん、あれも買おう。茎わかめ」
子供は話を聞いていなかった。流石に少し切ない気持ちになった太宰はカゴに入れられた茎わかめを元の陳列棚に戻した。
子供が恨めしそうな目を太宰に向ける。
「わかめ……」
「お金に余裕があったら買ってあげるからね。あ、発泡酒が安ーい。買おっと」
「ど、どうしようもない大人だ」
太宰と子供は、町内で行われるハロウィンで街を練り歩く幼児達に配る為の菓子を買いにきていた。対象年齢が七歳までであったので、十程度の齢に見える子供は参加できない。
落ち込む子供を見兼ねた春野が買出しのお使いを頼み、その供に仕事をサボりたかった太宰が着いてきた。
の、だが。
「そこの美しいお嬢さん、私と心中を──」
膝まづき、女のすべすべした手をとる太宰。
女は容姿だけは一級品の太宰に声を掛けられた事に赤面しており、その後に続いた不穏な台詞にまでは気が回っていないようである。
「……帰っていいかな」
両手に膨らんだ買い物袋を下げ、子供は無表情で首をかしげた。太宰は置いて先に帰った方が良さそうだ。
□□□
とはいえ、子供はまだ電車の乗り方等といったものは良く判っていない。駅員に訪ねながら周囲の見様見真似で切符を買い、子供は一人で電車に乗り込んだ。
足元に袋を置き、座席にちょこんと座った子供は、無事乗れた安心感からか何時しか眠ってしまっていた。
いつの間にか座席に身を横たえていたらしい。子供はもぞもぞと起き上がり、ぼんやりとした瞳を窓の外に向けた。
外に見えるのは緑の山ばかり。空は毒々しい紫色に染まっている。時々木造の建物が麓に見えた。
「次はァ、狗歯馬駅ィ──」
不明瞭な声で流れる車内アナウンスの後、電車は静かに止まった。電光掲示板は文字化けしていて何と書いてあるのかも分からなかった。
駅名標を見て、子供は困ってしまった。やはり『狗歯馬駅』なんて行きでは確実に通った覚えがないからだ。
「乗り間違えたか……」
開いた扉の向こうには無人の乗降場が広がっている。躊躇せず出ようとした子供の背後から、大きな掌が伸びた。
「わっ」
肩を掴まれ、子供はたたらを踏んだ。目と鼻の先で扉は閉まった。
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麗(プロフ) - 更新されるの楽しみにしています！ (2021年5月8日 12時) (
レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
篝火 - こ、更新だーー！！水を得た魚のように、認知して！から読み返して参ります！！！ (2020年11月3日 2時) (レス) id: 77c7a84bb1 (このIDを非表示/違反報告)
こめ(元団子)(プロフ) - 篝火さん» 読んでくださる人がいた…！？ひぇ〜すみません放置して 好きとの言葉嬉しいです！ (2020年11月2日 0時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
篝火 - 昨日はハロウィンだったなと思い戻って参りました。好きな作品が止まっていて悲しいです… (2020年11月1日 20時) (レス) id: 77c7a84bb1 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - 芥川さんが幼児ちゃんに貢ぐ……と云うより交流？お出掛け？合法的に会える？日ですね。横浜のハロウィンは平和で楽しそうな感じがします。 (2019年10月29日 23時) (レス) id: 84710b8cd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こめ | 作成日時：2019年8月25日 23時
