Dandelion Ⅰ 【赤】 (ページ3)

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それからしげが楽屋に戻ってきたのは、生放送が始まる15分前の事だった。

「しげ、…大丈夫、？」

「熱は？あるんとちゃうん、？」

なんて神ちゃんが聞けば、苦笑いを浮かべたしげ。

「いやぁ、5回くらい測ったらやっと37.8になってさ、渋々OKしてもらったわ、」

「アホ、それは38.0 以上や」

顔色も悪いし、きっと足も痛いのに、淳太くんに突っ込まれた当の本人はヘラヘラと笑ってて。

やけど、皆の心配している顔を見ると途端に真剣な顔つきになった。

「えっと……俺、今日、ちょっと、具合悪い…から、多分、迷惑かけます、」

“すいません”

そう言い終わると深々と頭を下げたしげ。

余りにも長い時間頭を下げているもんやから、不器用なやつやなぁ、なんて、なんだかコイツが可愛らしく思えてくる。

「…ふはっ、」

俺と同じことを思ったのか濵ちゃんが笑った。

「いや……もうな、全力で迷惑かけに来てや！」

「濵ちゃんのワードセンスって、ホンマに謎すぎんねんけど、」

「ホンマにアホの子やなぁ、」

天然な濵ちゃんの発言と、さり気ない最年少のフォローによって場の空気が一気に柔らかくなった。