乱戦前 ページ6
＊
Aと全国各地を回っていた荼毘は、義爛を救けに行こうと連絡を受けて、ヘドロに呑まれた。
今日はウイングヒーローからNo.3の死体を受け取る予定だったのだが。
Aの手前、なるべく社会のゴミのような大人を見せたくなかった荼毘はガシガシと後頭部をかいた。どうしたのかと見上げてくるAに、なんでもないと手を振る。
造られた脳無だと頭の片隅で理解しているつもりだけど、瞬きも呼吸もする彼の身体が死んでいるなんて、なかなかどうして、荼毘はうんと頷けない。
Aを殺したのも、このような形で現代に留めてしまっていることも、すべて荼毘のせいだったが。ああいや殺したと言うと語弊がある。あれは事故だったから。殺したくてやったわけじゃない。悪いのは荼毘のお父さんだ。
「Aくんも来たんだね」
Aはトコトコと近づいてきたイカレ女に会釈をして、荼毘の背に隠れた。荼毘には同意できなかったが、Aにはこの女が女性的に映っているらしい。
荼毘の記憶にある生前のAならこうする。望んだ反応を得られた荼毘はご機嫌だ。
だって、まるでAが生きているみたいじゃないか。
「カァイイねえ、Aくん。ねえ、チウチウしてもいいですか？」
「ダメだ」
「む……わかってましたけど」
トガだけでなく、連合のメンバーは、Aに関することはすべて荼毘に訊ねる。
彼らが荼毘とAをどう思っているかは定かではないが、少なくともAの口がきけないことを知っているからだ。
でも、それだけではないだろう。
今のようなYes or Noの質問であれば喋れなくたって答えられる。それでも荼毘を介するのは、きっと荼毘とAの普通でない雰囲気を察しているから。裏で生きる人間には、同じく裏で生きる人間たちのことがよく分かる。
「そろそろ行くぞ」
「はーい」
我らがリーダー、死柄木の言葉に重い腰をあげる。
Aの手を取って先に駆けたトガに続くと、その先でミスターが声をかけてきた。いつものことだ。反社的グループの敵連合だが、彼らは荼毘の連れる子供に関心がある。
「圧縮しようか？一筋縄ではいかねぇ相手になるし、きっと下は乱戦だ」
「いやいい。だよな、A」
不思議な善意を突っぱねて、荼毘は形だけAを振り返る。死んだAは荼毘全肯定botと化していた。
首を縦に振ったAに、ミスターは気にした様子もなく「気をつけてな」と離れていった。
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緑猫(プロフ) - 廃部させ隊さん» こちらこそ、最後まで読んでいただきありがとうございます！楽しんでいただけたようで何よりです;; (2021年12月16日 21時) (
レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
廃部させ隊 - ﾊｯﾊｯﾊｯ(過呼吸)好きｯｯ作者さんありがとうｯｯ (2021年12月16日 20時) (レス) @page17 id: 4296e190f8 (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - み゜さん» コメント＆最後まで読んでいただき、ありがとうございます！最後は想像にお任せします…笑 ハッピーエンドになっていれば良いですね＾＾ (2021年11月29日 19時) (レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
み゜ - お、お、終わったぁぁぁ！！！？！凄く考えさせられる終わり方好きです。夢主くんはどうなってしまったのかぁ！気になる……完結お疲れ様でした。 (2021年11月28日 22時) (レス) @page17 id: b6bcf1174f (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - 朝陽さん» 前作に引き続き、コメントありがとうございます！共依存ものが好きなのだなあと思う今日この頃です。今作は荼毘の一方通行ですが笑 ゆっくり書いていきますので、お待ちいただければと思います！ (2021年11月15日 23時) (レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緑猫 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?
作成日時：2021年11月13日 11時
