ホークス ページ13
＊
手に負えないと投げ出されたAの次なる身元引受人は、福岡を拠点に活動するウィングヒーローだった。
Aとホークスは、ホークスがスパイをするために荼毘に取り入り始めたときからの顔見知りである。ホークスたちに会話らしい会話はほとんど、否まったくなかったが。
常に荼毘と共にいたAがひとりでいることに、ホークスは違和感を感じて仕方がなかった。
「荼毘…じゃなくて、燈矢と喧嘩したって聞いたよ」
ホークスはAが脳無だと一度受け入れたが、他のヒーローたちよりも近いところにいたためか、彼を中学生の男の子以上でも以下でもないとモヤモヤした気持ちを抱えていた。
だから、Aを頼めるかと連絡を受けた際のエンデヴァーの説明に、Aを人として扱う様子が伺えたことに安心を覚えたのだ。
ホークスには非道になりきれない若さがあった(ホークスの正義に則った非道である。やはりホークスは若い)。
「とーや」
「うん、燈矢。会えんで寂しい？」
「とーや」
ホークスの言葉を理解していると言うよりは、燈矢の名前に反応しているようだ。
なるほど、知能は赤子並みと捉えて良いらしい。これから何者にもなれる子供だ。もちろん子育てなぞしたことのないホークスはキリリと身を引き締める。
飲まず食わずで生きていける身体だと聞いたが、摂取不可だとは聞いていない。発声と同じく、荼毘が教えなかった身体機能だ。
ホークスは事務所の戸棚から取り出したサブレを数枚小皿に盛って、自分用のレモンティーとA用の牛乳をそれぞれカップに注いだ。
コトンとAの前に置くも、Aは興味が無いのか視線をやってすぐに逸らした。
予想通りの行動にホークスは忍び笑いをしてしまう。
「ふふ、食べて良いんだよ」
Aは声の主を見てこくりと頷いた。
この動作に、見たまま以外の意味はないことをホークスは知っている。
ホークスはひよこ型のサブレを1枚手に取ると、ぱくりとひと口で放り込んだ。ゆっくりと咀嚼すると、頬が大きく動く。バターの香りが口いっぱいに広がってゆるゆると顔が緩んだ。うまか。
Aは変わらぬ表情でホークスを見ていた。
「いーい？食べるっていうとは」
長方形の机越しにホークスはAの手を掴んで、サブレを持たせた。力加減を間違わないように気をつけながら、口元までAの手を誘導してやる。
見本を見せるようにホークスが口を開けるとAも真似をした。
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緑猫(プロフ) - 廃部させ隊さん» こちらこそ、最後まで読んでいただきありがとうございます！楽しんでいただけたようで何よりです;; (2021年12月16日 21時) (
レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
廃部させ隊 - ﾊｯﾊｯﾊｯ(過呼吸)好きｯｯ作者さんありがとうｯｯ (2021年12月16日 20時) (レス) @page17 id: 4296e190f8 (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - み゜さん» コメント＆最後まで読んでいただき、ありがとうございます！最後は想像にお任せします…笑 ハッピーエンドになっていれば良いですね＾＾ (2021年11月29日 19時) (レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
み゜ - お、お、終わったぁぁぁ！！！？！凄く考えさせられる終わり方好きです。夢主くんはどうなってしまったのかぁ！気になる……完結お疲れ様でした。 (2021年11月28日 22時) (レス) @page17 id: b6bcf1174f (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - 朝陽さん» 前作に引き続き、コメントありがとうございます！共依存ものが好きなのだなあと思う今日この頃です。今作は荼毘の一方通行ですが笑 ゆっくり書いていきますので、お待ちいただければと思います！ (2021年11月15日 23時) (レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緑猫 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?
作成日時：2021年11月13日 11時
