26話 ページ26
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先をゆく署長達が止まった。ここで話をするのだろう。
Aと尾形も署長達の近くへと足を進めた。
「で、報酬の話なんですが……」
「そんなもんはどうだっていい」
署長は困った顔をする。
「俺たちがしたいのは金の話じゃない、“刺青の在処”だ」
「まだ……はっきりとした場所までは分からないです……」
恐る恐る曖昧な返答をする署長に、尾形はまたも髪を引っ掴んで揺さぶった。
「──そのケツアゴぐるっとケツまで切り裂いて全身ケツにしてやろうか?」
「意味がわかりません!」
縮こまる署長。尾形が至って淡々と言うもので余計に怖いのだろう。馬吉達も引きつった顔をしていた。
「刺青について知ってること全部話せケツ署長」
そう尾形が詰め寄る。
すると署長は震えた声で話しだした。
それは大抵のニシン番屋には強盗から売上金を守るために隠し部屋が存在する事。そして日泥の持っている入れ墨の皮はおそらくその何処かに隠されているだろうという事──。
「なんとか刺青の皮を引っ張りだすために日泥の妾をさらおうと思ったんですが、さらったところであそこは女将が実権を握ってるので親方が持ち出してくれるかどうか……」
(そこまで分かってんじゃないか)
「妾の家に案内しろ」
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尾形が署長に命じ、妾の家に着いたはいい、が。
「こいつら日泥の手下か?」
そこには新しい死体ばかり転がっていた。
黙ったままのAも屍を眺めている。しかし妾らしき姿はない。
仲間割れか、他の誰かが攫ったのかと署長と馬吉がうろたえて口にした。
「こうしちゃおれん。俺達の仕業だと勘違いして日泥が攻めてくるかも」
そう言って馬吉があたふたとしている中、尾形は痕跡を探していた。
そしてぐるりと一周見渡した時、きらりと光る物を捉える。
それをAは横目で見ていた。
視線の先は壺の下──。
尾形はそこから何かを拾った。
「なにを拾った?」
Aの問いかけに尾形は持っているものを見せてきた。
(.44-40ウィンチェスター弾……)
それは拳銃と小銃で共用可能な弾である。
これを使うことの出来る”ウィンチェスター銃”を土方が持っていたことを、2人は直ぐに思い出すのであった。
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ra(プロフ) - プスメラウィッチさん» しがない字書きにコメントありがとうございます🙇とても元気をもらえました。実はこのサイトで文章トレスされてしまっていたようで、もうここには投稿しない方針で考えています。pixi⚫︎の方などに投稿するか検討しているのでその際はお知らせいたします (1月31日 22時) (レス) id: e3ec8bd41f (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ(プロフ) - 続きの更新頑張って下さいね😆応援しています。 (1月31日 15時) (レス) @page26 id: b10205217f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ra | 作成日時:2021年5月13日 1時