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13話 ページ13

──────



「この辺でいいだろう……」


その言葉に悪寒が走るA。この距離とこの角度、持ち去った小銃の遊底、そこから察しがついてしまった。尾形達のいる方へと慌てて目を戻す。

そこにはもう狙撃に入る尾形の姿があった。


──ドォンッ


尾形の狙いは谷垣一等卒。Aが取引をしても、あの場所で彼を殺害する目的は変わらなかったのだ。

双眼鏡から谷垣の様子を見ている二階堂。


「外れたようです」


その言葉にほっとする。
幼い子もいたのだ、あの場が血の海になることはAにとって心苦しい物があった。


「……騙したのか、尾形」


Aの一言に尾形はなにも語らない。
少しの沈黙の後、二階堂は口を開く。


「手っ取り早くあの場で殺してしまえばよかったのでは?」

「あの場でやれば目撃者も殺さなければならん……バアチャン子の俺にそんな事をさせるな」


淡々と言ってのけた尾形に薄っすら胡散臭さを感じるが、お婆ちゃん子というのはあながち嘘ではないと思わせた。Aは彼の複雑な出自を鶴見中尉から聞いていたのだ。


「谷垣は真面目な男だ。鶴見中尉を出し抜こうなどという話には乗ってこないと、玉井伍長には釘を刺したのに……。玉井伍長たちは説得に失敗し、口封じをしようとして返り討ちにあったと考えるのが自然だろう」


さらに続けて尾形は言う。


「谷垣は……回復を待って、鶴見中尉に我々の謀反を伝えに行くつもりだったに違いない」


尾形が提示してる線も確かにあり得るが、Aは谷垣が玉井伍長を殺害したとは思えなかった。先に谷垣に接触し玉井伍長について問いかけた時の谷垣の表情にはどうも真実味があったのだ。

しかし目の前の2人は完全に谷垣を消す気でいる。ましてや蚊帳の外にされているAには何もできない。

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ra(プロフ) - プスメラウィッチさん» しがない字書きにコメントありがとうございます🙇とても元気をもらえました。実はこのサイトで文章トレスされてしまっていたようで、もうここには投稿しない方針で考えています。pixi⚫︎の方などに投稿するか検討しているのでその際はお知らせいたします (1月31日 22時) (レス) id: e3ec8bd41f (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ(プロフ) - 続きの更新頑張って下さいね😆応援しています。 (1月31日 15時) (レス) @page26 id: b10205217f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ra | 作成日時:2021年5月13日 1時

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