【テニプリ】こっち向いてほい Ⅱ (ページ6)

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無力ページ6

「…ほんまに鈍感っちゅーか能天気っちゅーか、アホっすわ」

財前くんの言葉がグサリと胸に突き刺さる。

「まぁ、ええですわ。主犯は白石部長が分かっとるらしいし」

「主犯って、うちのジャージ捨ようとした人？」

「いや、ちゃうな。捨てろって指示出したやつ」

なんと、私は複数人からの嫌がらせを受けていたようだ。

…それに気づかないなんて…本当にアホだ。

「もしかして白石部長が今日部活来てないのって」

「まぁ、そういうことやな。話でもつけに言ってるんやない？」

「なっ！あ、危ないやろ！こないな悪質な事する人間や！部長になにかあったらどうするん！」

どういう経路で私が主犯の方のご機嫌を損ねたかは分からない。

けど、こんな酷い事をする人に部長は一人で向かって行った？

普通に考えて、部長もなにかしら傷を負うかもしれない。

部長は関係あらへんのに。

うちが、なんとかしないと…！

そう思い、私は部室のドアへと手をかける。

「どこ行くん」

「そないな話聞いて黙っとれるわけないやろ！

なにかあってからやと遅いんや。うちが助けに行かんと！」

はぁ、とため息を漏らす財前くん。

頭を抱え、部室の出入り口…基、私の元へとゆっくり近づく。

「俺はあの人に言われた事は二つ。

一つは他にもされた嫌がらせを聞く。

もう一つは危険やから部長が戻ってくるまで俺がアンタを監視するっちゅー事。」

頭にハテナが浮かぶ。

危険とは？私より白石部長の方が危険だと思うんやけど。

「…あんな、部長が会いに行ったんは主犯の奴だけや。

他にも仲間がおったらマネージャーを狙ってくるかもしれへんやろ。」

「あ、あぁそういう事やな？

分かった…けど、部長が危ないのは変わらへんやん！」

「アンタが行ってなにか変わるん？」

ズキ、と胸が痛んだ。

うちに何が出来る？

何も出来ひん…。

「アンタが出来るんは、俺の目が届く場所で大人しくしとる事や」

ぽんっと頭に財前くんの掌が乗る。

……うちって、ほんまに無力や。