無視するな！ ページ5
クロム「A、起きてください」
んん…またテオに起こされてる…？？
『テオ〜、まだ眠いから寝るね〜』
よし、寝よう。
「そうですか。ならば私も寝ましょうかね……よいしょ。布団、お邪魔しますよ」
『んん〜、ちょっとテオ〜狭いってば…………え、く、クロム！？』
「ええ、迎えに来ました」
『きゃぁぁあああ』
私のベッドに侵入してきたクロムを押しのける。でも、やっぱり力で勝てるわけがなかった。全く動かない。重い。
あれ…？もしかして、クロムって太って…
「太ってないです」
声に出てた…
「何ですか、手なんて突き出してきて。もしかして私と手を繋ぎたかったのですか？」
そういうと、私の手をするりと握りしめた。密着したクロムの手は冷たかった。
『違います！離して！』
「それじゃあ……こうされたかったのですね」
クロムは手を繋げたまま、私の薬指を舐めはじめた。昨日のキスと同じ音がしたから、思い出してしまった。
『ちょ、やめてくださいっ…』
「ふふ、また顔が赤くなっていますね…感じました？」
『感じてなんか…っ、や、っあ……』
「…本当に可愛らしい」
クロムは私を舐めるように見回した。
少し考える素振りをみせた。
「…朝ですし、このくらいにしておきましょう」
ぴたりと止められた。
クロムは私のおでこにキスしてから、ベッドを出た。
「じゃあ私は先に行ってますよ。早く服を着て、朝食に来てくださいね」
『あ…は、はい……』
そう言って、部屋を出ていってしまった。あまりの切り替えの速さに驚いてしまう。なんだ、今日は理性がちゃんとあるじゃん。
とにかく早く着替えようっと。
、
「待ちましたよ、姫」
『すみません！…今日もメア皇子はいらっしゃらないんですね』
「いえ…宰相は来ると言っていましたが……」
その時、大きな扉が開く音がした。紫色の髪の人が出てきた。な…何なのあのもさもさ頭は……っ。服装は綺麗なのに、髪の毛で台無しだよ…。
「メア！」
ええ！？め、メア皇子ってこの人なの！？
あのリュゼ皇子の弟がこんな人だったなんて信じられない！
あ、まずは挨拶しないと！
『はじめまして。イナコのAと申します』
「…どうも」
………。
……………。
…………？
……………えええっっ！！？
それだけ！！？
こ、この人…一応私の婚約相手候補…だよね？
こんなに素っ気なくされるの……？
む、、むかつく！！！
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作者名：べっこう飴 | 作成日時：2019年1月26日 0時
