体感させるな！ ページ23
もんもんと頭の中を2つの感情が回り続けている。
可愛いと叫んできた幼馴染への甘い混乱と、盗み聞きと部屋侵入をしてきた同盟国の第二王子への怒りだ。
テオが、あのテオが。私のことを好きだと思っているなんて。
メア王子は本当に頭の中が見えない人だなあ。あっ、あの隠し通路の出入口を塞いでおかないと！
うう、これからテオにどんな顔して会おうか…。手紙を残していなくなるなんて今まで無かったのに…。もっと意識しちゃうよ…。
……この出入口、どうやって塞ごう。ていうか、どこに繋がってるんだろう。
……………………。
あああああ！！！頭パンクしそう！！
今すぐに頭をスッキリさせなきゃ、どうにかなっちゃいそうだよ！何か気晴らしになるようなこと……イライラを晴らせるような……。
『あ、そうだ』
この隠し通路、塞ぐ前に一度私も使ってみよう。それで、メア王子の部屋に侵入して驚かしてやろう。
うん、良い考えだ。メア王子に、部屋に勝手に入られることがどれだけ嫌かを体感させてやろう。
ガコ、と音を鳴らし、扉を開けた。
コンクリートの四角い道が一直線に並んでいる。先が見えない。
『よし！行くぞー！』
私は腕をまくって意気揚々と進み始めた。
真っ暗で細い通路を延々と這いずっていく。かなり肌寒い。指先が冷えてきた。
というか、もう30分はこうしている気がする。
思ったんだけどさ。
これってさ…もしかして……いや、確実に…………
『迷ったぁぁぁぁぁぁ！！！！！』
なんで！？なんで！？帰り道も分からなくなってきた！
『出口も見つけられないし…困ったなぁ…』
………。
また、多分1時間くらい経った。
だいぶ疲れてきたな。手が震えている。
息が白くなってきた。もう結構深夜ってことだね。
……と、いうことは。
『隠し通路に入ってから３時間は経ってる……』
そ、そろそろ真面目に焦ってきた。
あ、あれ？いくら広いお城だからといって、何部屋かの移動にこんなに時間ってかかるかな？かからないよね？だって普通に歩いて行くのは５分10分で着くもん。
………どうしよう…。
もう、動けな…………
『いや、とにかく進まないと！このままここで餓死か凍死を待つだけは嫌！』
そうよ。絶対に行き止まりはあるはずなんだから！進み続ければ良いじゃない！
食べ物は最悪そこら辺にいる虫とネズミで良いし、寒いのは根性でどうにかすれば良い！
えらいよ私！
それでこそイナコの姫！！頑張るぞー！！
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作者名：べっこう飴 | 作成日時：2019年1月26日 0時
