【ダメプリ】攻防戦 (ページ17)

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怒るな！ページ17

その後、私達はとくに何事も無く街探索を楽しんだ。リュゼ王子はあの地下室をただの休憩所としか思っていないようだし、クロムもいつもと変わらない表情で王子の後をついて行っていた。

「只今帰りました」
「おかえりなさいませ、リュゼ王子、A姫様、宰相様。」

不慣れながらも作法を改め、従者さんに挨拶をする。

「A姫様、メア王子がお呼びです」
『…え？』

………はっ！！

メア王子に頼まれてたおつかいとかその他もろもろ、全部忘れてた～～～っ！！！！！！！

部屋に入ると、メア王子はこれまで見せたこともないような幸せそうな顔で私を歓迎した。

「よく来たなぁ！待ってたぞ……え、なんで何も持ってないんだよ」
『お、怒らないでください。正直に言います。…忘れました！！』

一瞬固まったメア王子だったが、直ぐに怒りの顔を見せた。

「あ、あ、あんた、そんな！そんなことってあるか！楽しみにしてたのに！」

謝る隙もなく、次々と文句を並べられた。

「お前はミアモなのかもって思ってたが、違うようだな！帰れ！」
『えっ、みあも…って何……、っきゃあ！！」

メア王子に背中を押されて部屋から飛び出た。その勢いで尻餅をついてしまった。ちょっとムカついたから何か言ってやろうと思って振り返ったとき、扉が大きく音を立てながら閉まってしまった。

痛い……。おしりとか腰とか背中とかもろもろ痛いよ…。背中押されてる時、同時にちょっとつねられたんだもん。すごい痛い。

「メア王子～、昼食を……。ひ、姫様！？どういたしましたか！？め、メア王子！一体何を！」
「うるさい！！昼食は要らないからイナコの騎士にでも食わせとけ！」

王子がドアの向こうから怒鳴った。侍女さんは恐ろしがって、カートに乗った昼食を持って何処かへ行ってしまった。

『メア王子！侍女さんに迷惑かけないでくださいよ』
「ああもう！うるさいうるさい！早くどっか行ってくれ！」

ああ……。これ以上行っても聞いてくれなさそう。本当はすっごーーく怒ってるけど、喧嘩するのはまた今度にしよう。
立ち上がって、自室まで戻ろうとしていると、遠くからさっきの侍女さんとテオの声が聞こえた。

「えっ、俺にですか？…昼食なら今さっき食べたばかりなんですけど…」
「い、いえいえ！騎士様ならもっと沢山食べなければいけませんよ、ね！」

メア王子の昼食だったものか…。あ、テオ食べちゃった。ああ見えてもテオって少食なんだけどな。大丈夫かなぁ…。