【ダメプリ】攻防戦 (ページ12)

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目立つな！ページ12

今日は朝から晩まで、5人仲良くセレンファーレンの城下で遊ぶ日。あ、違う。メア皇子は来ないから４人だね。

『うわぁ……』

私の第一声はこれだった。あまりのことに声を漏らしてしまったのだ。
セレンファーレンの綺麗な街並みに感心しているのでは無い。

「？？」

この、目を合わせるとにっこり微笑む、神の子の目立ち様に呆れているのだ。
何か変装はするよね、と思っていたが、何一つして来なかった。待ち合わせの時はびっくりした。リュゼの姿が見える前に、街の人々の悲鳴や、名前のコールが聞こえた。
[神の子]と崇められているのは少し聞いていたけど、ここまでとは思って無かったなぁ。

『…リュゼ皇子の人気度を実感したよ……』

「はは、俺もだよ」

声だけでは落ち着いているように聞こえるテオも、顔は真っ青だ。これは驚いている顔だったと思う。
そんな私達に目もくれず、皇子達はキビキビと行き先に向かっていた。
あ、皇子、目が輝いてる。急に誘われて、気を使われてるんだと思ったけど違うみたい。なんだか嬉しいな。

いや、待てよ。
置いてかれとるやないか。

『待って！』

人混みの中かすかに見えるクロムの頭らしきものを追いかけた。リュゼ皇子は人に埋もれてしまって見えなくなっていた。

「ああ、このままじゃ、迷子…！！…って、姫様！俺から離れたら……」

あれ？テオが居なくなった…。

……まあいいや！！

『く、クロム…！』

私はクロムの袖を掴んだ。クロムが振り向いた。

「はい？誰ですか？」

『…え』

……あ、ひと間違いしてしまった。

『ごめんなさい！間違えました！』

恥ずかしくなって少し遠くまで逃げた。

…で、ここはどこ…？皆は…？

「着きましたよ、姫」

リュゼが、姫がいたはずだった方を向く。
そこで、やっと姫がいないことに気がついた。顔が青ざめる。

「…姫、が…ぁ、あぁ……」

リュゼは倒れかけたが、クロムが力強く受け止めたので、硬いコンクリートに体が触れる事は無かった。まだ寝不足が続いているのであろうとクロムは考えた。

「はぁ…皇子、ご無事ですか？誰か皇子を安全な所へ」

「は、はい！」

怪しげな3人の男にうす暗い診療所に連れて行かれた。若干不気味だったのでクロムは警戒していたが、リュゼ皇子を真夏の炎天下に晒しておくよりかはましだと考え、静かに男達に従った。