惑星アロー奇襲戦3 ページ50
「艦長！ご無事ですか！？」
「ああ、私は平気だ」
そうは言ったものの、艦長の脇腹には破片が突き刺さり、見ていられないほどの血を流している。彼はそれを自らの服で押さえて我慢しているようだった。一語一語顔を歪めながら話しているからだ。
「は、はいそのようで小官も安心でございます。それと、どうやら先ほどの敵砲弾はレールガンではなく機関砲のようです」
「機関砲でこの威力がでるとは……かなりの高度からの攻撃のようだ。装甲が無いに等しい輸送艦ではレールガンが当たれば一溜まりもないだろう。だから……ボートを全て出せ！ 総員退艦だ」
「それが……ボートが圧倒的に不足しています」
「違う違う。付近の艦艇に連絡するためだ。さっきので連絡機はやられた。他の機器だとあっさり盗聴されるだろう。ボートなら着弾も少ない。付近の艦艇は巡洋艦や駆逐艦の改造艦や巡洋艦並みの大きさの巡視艇が多数だ。我が艦の兵ならギリギリ乗せられるだろう」
「でも他の7隻は……」
「君、周りを見てみよ」
その青年尉官は言葉を失った。既に7隻の輸送艦は海の藻屑と消えていたのだ。
「すぐにボート一隻を出させます」
彼はそれだけ言うのが限界だった。このたった数分の間に五万数千を数える兵士が皆息絶えたと思うととても話せる気分ではなかった。不意に口元を押さえたくなる。そんな気分だった。
大型輸送船から小型のボートが出された。選ばれた者たちが乗り混んでいる。そこに数人の高級士官と言われる階級の男達が現れた。彼らは、
「そのボートの乗員は我らと決まっている！」
というと、拒む本来の乗員たちを眼下に蹴り落として勝手に占領しボートを下ろさせた。
「グーチィ将軍、上手くやりましたね」
「残りの者たちには悪いが先に逃げさせてもらおう」
そういうとグーチィやその取り巻きは溺れまいと必死にボートに掴まってくる兵士らを拳銃で撃ち殺し、順調に逃げていった。
「ん？」
雲のすぐ下でなにかが光ったような気がした。そしてその何かは一直線に下りてくる。それが砲弾だと気づいた頃にはもう遅かった。その砲弾は優に三十センチを超える戦艦の砲弾であり、それはボートに見事命中した。乗っていた者たちは一人残らず悲鳴をあげる暇も与えられぬまま命を絶たれ拾う骨すらないほどに砕け散った。
作者より
随分とキリが悪いですが次章？に続きます。ここまでご清覧頂いて本当にありがとうございます。これからも銀河大戦争を宜しくお願いします。
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デ・ロイテル(プロフ) - 特命さん» ご清覧ありがとうございます。そうでしたか、失礼しました。見つけ次第すぐに対処致します。本当ですか！？ありがとうございます。推敲には力を入れているのでそう言っていただけると嬉しいです。続編の方もよろしくお願いします。 (2018年10月5日 21時) (
レス) id: 707fc28c68 (このIDを非表示/違反報告)
特命 - 楽しく読ませて頂いています。どこかに「機器」が「危機」になっている箇所と、助詞の「は」が重複して「はは」になっている箇所があったようです。勘違いでしたらすみません。これほどの長さの文章で２カ所だけってすごいです。続き楽しみにしています。 (2018年10月5日 21時) (レス) id: 3f4c6d750f (このIDを非表示/違反報告)
デ・ロイテル(プロフ) - 次で50話ですね。キリ悪い…… (2018年10月4日 0時) (レス) id: 707fc28c68 (このIDを非表示/違反報告)
Olivie(オリヴィエ)(プロフ) - デ・ロイテルさん» これからも頑張って！！おうおう、良かった〜……(チャット化しそうなので返信不要) (2018年9月30日 0時) (レス) id: 26b767d003 (このIDを非表示/違反報告)
デ・ロイテル(プロフ) - Olivie(オリヴィエ)さん» いえいえとんでもない！これからも精進しなくては！嫌うなんてないで。三笠と一緒に居れるねんで？ぜーんぜん怒ってへんよ。 (2018年9月30日 0時) (レス) id: 707fc28c68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：デ・ロイテル | 作成日時：2018年8月12日 0時
