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疑惑 ページ34

彼は自分も狙われているのではないかと思った。そう考えると途端に周りがガサガサ言っているように聞こえる。彼はガサッと音がした方へ銃弾を撃ち込んだ。辺りが静寂に包まれた。だが、撃った先には何もいない。木の葉の擦れる音を人が動いた音と勘違いしただけである。もう誰もいないなと思うと深呼吸をして、司令長官の亡骸を背負うと一目散に山を下っていった。

全く非協力な人間を背負っているのに、彼は重いともしんどいとも思わなかった。司令長官の暗殺ということの衝撃がそれを凌駕していたのであろう。すぐに都市部に入った。夜も酣、今頃警備兵がウロウロしているだろう。陸軍の管轄の警備兵が。

都市に入って数分、彼の目を何条もの光が襲った。光は彼と亡骸を照らしている。警部兵が逃がすわけない。しかも海軍と『仲の良い』空軍司令官がそんなことをしているのだ。正に僥倖だったろう。兵たちは木刀を持って殴りかかった。人を背負っていてうまく立ち回れるわけがない。彼は頭や腹部を何度も打たれ、最後に首筋に入った1発で気を失った。兵たちは「ざまあみろ」というような顔をし、お手柄だと称えあって彼を殺人罪の名目で現行犯逮捕した。

「おい、一体何があったというのだ? 」

戸惑ったのは陸軍最高司令官のグーチィだった。ミュレー大将のことは尻の青い若造だと思ってはいたがヴァンサン司令長官を殺害するとは思えなかった。理由として彼自身もヴァンサン司令長官のことは尊敬していたこともある。立場上対立はしていたがプライベートな付き合いも多く、同じ白髪頭の老人だから親近感もあったのだ。ミュレー大将だって父親のように慕っているようであったし、彼は……いや、彼も中枢に不信感を覚え始めた。

彼はその新聞記事を破り捨てて他の記事を見た。

「他はちゃんとしてるのに……いきなりこんな荒唐無稽なことを書くなんて……内容も誹謗中傷だと言っていい……もしかして……」

考えれば考えるほど不信感が湧いてくる。陸軍には有益でも軍全体ではそうではない。2年前からの活動を再開……いや、いっそ決行するかと彼は思った。

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設定タグ:戦争 , 軍事 , 宇宙   
作品ジャンル:SF, オリジナル作品
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デ・ロイテル(プロフ) - 特命さん» ご清覧ありがとうございます。そうでしたか、失礼しました。見つけ次第すぐに対処致します。本当ですか!?ありがとうございます。推敲には力を入れているのでそう言っていただけると嬉しいです。続編の方もよろしくお願いします。 (2018年10月5日 21時) (レス) id: 707fc28c68 (このIDを非表示/違反報告)
特命 - 楽しく読ませて頂いています。どこかに「機器」が「危機」になっている箇所と、助詞の「は」が重複して「はは」になっている箇所があったようです。勘違いでしたらすみません。これほどの長さの文章で2カ所だけってすごいです。続き楽しみにしています。 (2018年10月5日 21時) (レス) id: 3f4c6d750f (このIDを非表示/違反報告)
デ・ロイテル(プロフ) - 次で50話ですね。キリ悪い…… (2018年10月4日 0時) (レス) id: 707fc28c68 (このIDを非表示/違反報告)
Olivie(オリヴィエ)(プロフ) - デ・ロイテルさん» これからも頑張って!!おうおう、良かった〜……(チャット化しそうなので返信不要) (2018年9月30日 0時) (レス) id: 26b767d003 (このIDを非表示/違反報告)
デ・ロイテル(プロフ) - Olivie(オリヴィエ)さん» いえいえとんでもない!これからも精進しなくては!嫌うなんてないで。三笠と一緒に居れるねんで?ぜーんぜん怒ってへんよ。 (2018年9月30日 0時) (レス) id: 707fc28c68 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:デ・ロイテル | 作成日時:2018年8月12日 0時

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