銀河大戦争 第1章開戦

再包囲開始 ページ13

「ま、まずデブリを除去せよ。その後、敵艦隊に速度を合わせ渦陣を組め。味方に被弾しないように配置せよ」

各艦は戸惑いつつも工作艦でデブリを片付け竜巻のような陣を組み始めた。しかし、この一瞬の隙間を彼らが見逃さないわけがなかった。猛スピードで隙間に突進したのだ。艦ごとのコンピュータは慌てて速度を合わせようとしたが相対速度が大きすぎたためすでに目標は遥か彼方に去って行っていた。しかも、

「抜ける前にお礼をしておけ！」

と張が命令したので逃げる艦から砲撃を喰らい、まさかの大損害を出してしまった。

「クソっ！ 全艦後退だ！」

竜巻が崩れ、単調な方陣になり惑星キャベラの方まで引いた。後ろに引いたのも張艦隊が方向の設定を間違えて前方へと飛び去ってしまったからだ。だがこの様子を皆は絶望にも近い感情で見ていた。一旦拠点の方に戻るということは補給ができるからだ。だが、この心配は杞憂に終わった。張が燃料備蓄の十分であることを確認すると簡単な修理だけで反転、前進したからだ。

「重巡洋艦ニーム被弾！損害軽微！敵艦隊は28000キロ前方より発砲しているとのこと」

「もっとスピードを上げて後退せよ」

「惑星ケルム航空隊より入電！敵艦隊は現在我が艦隊の43万キロ先にあり、暗号解読班によると一隻のみ動向を探るため前に出ているとのこと」

大将は冤罪が晴れたかのように安堵した。敵が遠距離のため撤退と侵攻への対策が取れるからだ。目標の惑星まであと2、3万キロ。大将には到着の時がとてもとても待ち遠しかった。

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