密集隊形 ページ11
「敵艦隊との距離1200キロ。敵最後尾との距離は2200キロ!あと800キロ程度で敵前方のレールガンの射程に入ります!」
「いいぞいいぞ。もっと近づけ!ワハハ1キロ近づくごとにどんどんニヤケて来るぜ! 」
口を引き裂けそうなくらいに開けて張は大笑いした。だが周りはこれを油断ともうるさいともとらず悪ノリしてはしゃぐだけであった。
「フッ……ハハハ……少将は元から嫌という程にやけきった面ではありませんか。年のせいか忘れてしまいましたか?」
「ん? 俺は中じょ……」
つい言いかけてしまった。言っちゃいかんと言われたことを思い出して途中で止めたが、咄嗟に誤魔化すために大げさな咳払いをした。どうやらバレてないらしいと思った彼は安堵して話を続けた。
「俺と2歳しか違わないやつに年寄り呼ばわりされたくねえよ。俺はまだ36だぜ?喧嘩だったら20代並みだろうな」
少将もとい中将の見苦しく幼稚な返答を聞いて彼はもっと嬉しそうな顔をして煽り返した。
「で、知能は幼児並みと。あんたは面白い人ですな」
すると今度は喜んだ顔をして
「なあ兵曹長、アカンボのワガママに答えてもらうぜ、これからも」
「ああ、ありがとうよ」
いい歳した男二人が下らない話をしているうちに艦隊はかなり接近していた。観測兵はついに敵射程に入ったと告げると脂汗をダラダラと流し始めた。操縦手も驚いて進軍の手を緩めてしまった。
「おい何をしている。戦の必勝法はただ一つ、全速前進だ! 手を緩めるな! 突進しろ!」
「少将が言うならその通りだ! 突撃するぞ!」
少将の訳の分からない助言によって彼らは不思議に士気が上がり、速度をさっきまでより上げた。
「バルサ大将!敵軍が急接近し先陣との距離180キロとなりました」
「よし!円柱陣をとれ。密集しろ!」
バルサ大将はまるで勝利が決まった時のような顔をした。本当に負ることなどコンマ1%も頭にないのだろう。彼はこの陣を敷くことができるかどうかが勝負だと思っていた。この陣は敵軍の一点をつく時に使うのが普通だが、横への攻撃力は高いし、密集しているため敵は真横をずっと打たれる。移動も容易で突破されてもすぐに作り直せるため包囲に持ってこいなのだ。海戦だと縦陣に似ている。
「よし、最深層、第二層、第三層の艦艇に告ぐ、敵魯国艦隊に怒りを込めて砲弾を発射せよ! 」
大将の命令に各艦の士気は天を衝き砲という砲が張艦隊に向けられた。
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デ・ロイテル(プロフ) - 特命さん» ご清覧ありがとうございます。そうでしたか、失礼しました。見つけ次第すぐに対処致します。本当ですか!?ありがとうございます。推敲には力を入れているのでそう言っていただけると嬉しいです。続編の方もよろしくお願いします。 (2018年10月5日 21時) (レス) id: 707fc28c68 (このIDを非表示/違反報告)
特命 - 楽しく読ませて頂いています。どこかに「機器」が「危機」になっている箇所と、助詞の「は」が重複して「はは」になっている箇所があったようです。勘違いでしたらすみません。これほどの長さの文章で2カ所だけってすごいです。続き楽しみにしています。 (2018年10月5日 21時) (レス) id: 3f4c6d750f (このIDを非表示/違反報告)
デ・ロイテル(プロフ) - 次で50話ですね。キリ悪い…… (2018年10月4日 0時) (レス) id: 707fc28c68 (このIDを非表示/違反報告)
Olivie(オリヴィエ)(プロフ) - デ・ロイテルさん» これからも頑張って!!おうおう、良かった〜……(チャット化しそうなので返信不要) (2018年9月30日 0時) (レス) id: 26b767d003 (このIDを非表示/違反報告)
デ・ロイテル(プロフ) - Olivie(オリヴィエ)さん» いえいえとんでもない!これからも精進しなくては!嫌うなんてないで。三笠と一緒に居れるねんで?ぜーんぜん怒ってへんよ。 (2018年9月30日 0時) (レス) id: 707fc28c68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:デ・ロイテル | 作成日時:2018年8月12日 0時