5 あいしてる ページ10
---
悟くんはサングラスを外してそれをどこかに適当に置いた。
細めた瞳はいたずらっ子のように爛々と輝いており、あまりの可愛さに私は眉尻を下げて「わかった」と返事をした。私は体勢を変えて悟くんと向き合う姿勢になり、準備万端ですと言わんばかりに肩に手を置いた。
「え、いいの?」
『約束だもん。そのために頑張ってくれたんだよね、ありがとう』
目を丸くした悟くんが可愛い。その整いすぎた顔は何年一緒にいてもカッコイイなと思うし真っ直ぐ見つめられれば途端に恥ずかしい気持ちになる。「目瞑って」と言うと長くて白いまつ毛がしっかりと伏せられる。それを確認してから私は軽く膝を起こして背丈を合わせる。
ドキドキする。私も目を閉じて一瞬、悟くんの柔らかい唇に触れる。悟くんとキスしたことなんて何回もあるし、勿論ファーストキスも悟くんだけど慣れないものはいつまで経っても慣れないもの。
恥ずかしくてすぐに離れると腰と後頭部をがっしりと掴まれて体ごと引き寄せられる。驚く間もなく啄むようなキスの雨が降ってきた。
『ん……さと、るく……まっ…ん』
目を開けると幻想的な蒼い瞳がくっきりと主張する。その瞳に射抜かれてクラリとして視界が蕩ける。
受け身の姿勢も限界だとそのままベッドに2人して倒れ込んだ。最後に上唇をちゅ、と食まれるとようやく熱が離れていった。
悟くんはご機嫌に頬を擦り寄せると額から目元、耳、頬、首、鎖骨と順にキスを落としてから私の頭を自身の首に押し付けた。
「可愛い。マジで可愛いすぎる」
暑いやら苦しいやらで私は必死に呼吸するけど鼻腔を通り抜けるのは彼の甘い香り。頭をぽんぽんと撫でられて甘ったるい声で耳元で呟かれた。
「A……好き」
『私も好きだよ』
「好きなんて言葉じゃ足りねーもん。愛してる」
【愛してる】
悟くんは私に、よく好きだとか愛してるだとか言う。私も悟くんが好きで、大好きだ。この世の誰よりも大切な人間であることは間違いない。……けど、愛してるという五文字には一度も返事をしたことがない。
自分でも何故だか分からないが、悟くんの愛してると私の愛してるは違うのだと思う。キスまでしておいて何だか私たちは付き合っている訳では無い。ただの幼馴染としてのスキンシップで、許嫁という縛りだ。
ごめんね、と心の中で悟くんに謝って彼の白髪に手を伸ばす。ゆっくりと手を動かすと悟くんは満足気に笑った。
2132人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
真理亜 - 夢主と誕生日一緒なんだか!好きぴと誕生日一緒💕 (1月22日 19時) (レス) @page5 id: 2ba0617eeb (このIDを非表示/違反報告)
エンドラーク(プロフ) - めちゃくちゃ好きです!!パスワード保護されてる小説はもう見れないのでしょうか….. (2022年8月22日 1時) (レス) id: 716a03fe49 (このIDを非表示/違反報告)
泡沫(プロフ) - がんばってください、陰ながら見守ってます(*´˘`*) (2021年3月22日 18時) (レス) id: 2bbd9ff8c5 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - 美波さん» ありがとうございます!頑張ります! (2021年3月20日 9時) (レス) id: ef0eaf48d3 (このIDを非表示/違反報告)
美波(プロフ) - めちゃくちゃ好きです...(;_;) 更新頑張ってください!! (2021年3月19日 8時) (レス) id: 1b90c873e2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:桜雪 | 作成日時:2021年3月13日 22時