12 パンケーキ ページ17
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そう言って夏油先輩は私の夜叉をちらりと見た。夏油先輩とは1、2度任務を共にしたことがあったが多分見せるのは初めてだと思う。
『私の術式の夜叉です』
「琉紗丸じゃ」
私が紹介するとそれまで黙っていた琉紗丸は間髪入れずに自分の名前を口にする。初対面の相手に無愛想な琉紗丸にしては珍しい。浮いているため座ることはできないが夏油先輩と向き合うように正座のような姿勢をとった。
「へぇ、喋るんだね。
……そうか。夜叉を相手に訓練を?」
『はい。相性が大事で』
「お主は弱すぎて相手としてはちと物足りんの」
『う、頑張って強くなります』
実際夜叉自体の攻撃力はとても強い。しかしそれを使いこなすために私自身がコントロールできていないことは事実であるため何も言えない。
「小娘や、その男の名はなんと言うんじゃ」
『夏油傑先輩。悟くんの同級生だよ』
「よろしく」
「ほう……なるほどな」
右手を顎に添えてじ、と夏油先輩のことを爪先から頭の天辺まで舐め回すように見始めた。そんな事をする琉紗丸は初めてで私も不思議に思ったが琉紗丸自体現代人の感性とはかなりズレていることがある。
「私品定めされてる?」
『あ、あまり気にしないでください……』
____
「悟も良いが傑もなかなかいい男じゃ。
寧ろわては傑の方が好みじゃな」
特訓を終えた後訓練場をモップがけしていると高みの見物とでも言わんばかりに浮遊していた琉紗丸がそんなことを口にした。
『夏油先輩、優しくて良い人なの』
琉紗丸が他人を評価することはなかなかないので珍しいこともあるものだと感心する。今でこそ悟くんのことは気に入っているものの初めて会った時は呪術界最強を前にして平然と毒を吐いていたというのに。
「ほほ。お主も隅に置けないの」
『何言って……夏油先輩はそんなんじゃないよ』
「まぁ、恋愛ますたあと呼ばれたわてがその気になれば簡単に落とせるがの」
『はいはい』
「む。信じてないな?わても昔はもてもてでのぅ。
この両手に収まりきらないほどのあぷろおちを受けたんじゃぞ」
どこでそんな言葉覚えてくるのやら。ため息をついたところでちょうど掃除は終わり、やや興奮気味の琉紗丸に【戻れ】と命じると琉紗丸が影となって私の体内へと吸い込まれるようにして消える。
(パンケーキ、食べてみたいな)
なぜだろうか、ふとそんな事を思った私は今度悟くんに付き合ってもらおうと決めた。
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真理亜 - 夢主と誕生日一緒なんだか!好きぴと誕生日一緒💕 (1月22日 19時) (レス) @page5 id: 2ba0617eeb (このIDを非表示/違反報告)
エンドラーク(プロフ) - めちゃくちゃ好きです!!パスワード保護されてる小説はもう見れないのでしょうか….. (2022年8月22日 1時) (レス) id: 716a03fe49 (このIDを非表示/違反報告)
泡沫(プロフ) - がんばってください、陰ながら見守ってます(*´˘`*) (2021年3月22日 18時) (レス) id: 2bbd9ff8c5 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - 美波さん» ありがとうございます!頑張ります! (2021年3月20日 9時) (レス) id: ef0eaf48d3 (このIDを非表示/違反報告)
美波(プロフ) - めちゃくちゃ好きです...(;_;) 更新頑張ってください!! (2021年3月19日 8時) (レス) id: 1b90c873e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜雪 | 作成日時:2021年3月13日 22時