鍾愛 ５ ページ5
…だって、送ってくれたって云ったらそういう事よね。私目覚めたら自宅だったし…それとも一度太宰さんの家に行ったけど何とか自力で帰ってきた？とか？
(わからない…)
うーんと顎に手を当てて唸っていると気づいたら準幹部用の執務室の前に着いていて、パソコンを開く。
カタカタとパソコンを打って活字と睨めっこする。出勤してすぐ淹れた珈琲の二杯目を飲んでいる頃には昼の時間だった。
中也さんのところに寄って書類の確認をしてもらってから午後のために二日酔いによく効く薬と春雨スープを持って外のベンチで食事を取る。
二日酔いはなかなか食べ物を口にするのもキツい。
嗚呼そう云えば、太宰さんに連絡しなきゃなと仕事用の携帯の連絡先を漁ると探偵社潜入時に交換した電話番号が表示される。
タップし端末を耳元に持ってくると4コール目で電話に出た。
『あっ、もしもし！櫻田です』
「嗚呼…A。どうしたんだい？」
柔らかくて甘い声に何だか照れるし緊張する。
…顔も声も良いってずるい。
『えと…昨日家まで送って頂いたと樋口から聞いたので、お礼を…』
「そっか。態々有難うね」
『いえいえとんでもないです！私こそ有難うございました。それで…あの、私、何かしました？』
そう問いかけるとえ？と云う返答が戻ってくる。酔っていると記憶を無くすタイプだと伝えると少しの間がありそれにドキドキしていると相手は口を開く。
「あー…なるほど………うん。別に君が気にすることは何もないさ」
『な、な、何ですかその間は！』
「ん〜？」
そう云えば、昨日の未遂は…と唇に触れた。
彼はそんなこと何も気にしていないかのように普通に喋っている。それに安堵する反面少し悲しい気持ちもあった。
すると鼓膜が弾けそうな程の大音量が携帯越しに伝わってきた。
「太ァァァァ宰ィィィ！貴様、またこんなところで油を売って！」
「やぁ国木田君！今日は絶好のジサツ日和で__」
「何アホなことをぬかしている！サボってばかりいないで仕事をしろ！」
『…あ、あの太宰さん…私、切りますね…』
「貴様は！大体いつも」
『さよなら…』
ぷち、と通話を強制終了する。嗚呼探偵社にも苦労人がいるんだなぁ…と遠い目で外を見つめた。
声からして、国木田独歩か。お疲れ様ですと心の中で合掌する。
結局、ほとんど何も聞けなかった。
(…次に会う約束でもしておけばよかったなぁ)
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あい - ？？？ (1月29日 23時) (
レス) id: 59cf03caf8 (このIDを非表示/違反報告)
あい - 更新中でしょうか？ワクワクです (1月29日 20時) (レス) @page43 id: 59cf03caf8 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - これ太宰さんどうなっちゃうんでしょうか……あと文才ご凄くありますね！ (1月22日 11時) (レス) @page31 id: 68fda9e290 (このIDを非表示/違反報告)
悠 - こういう系あまり読み続けられないんですがこれは一気に読めちゃいました…!文章能力すごい高いですね…尊敬…更新待ってます!頑張ってください! (8月26日 15時) (レス) id: efb8355445 (このIDを非表示/違反報告)
ライム - こういう物語って大体中也ポジの人は振られちゃうので、この展開メッチャ好きです！私が中也推しなのもあるかもですけど、wとにかく更新楽しみにしてます！ (2023年3月25日 3時) (レス) @page42 id: e7904a37c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜雪
| 作成日時：2020年1月25日 21時
