愛吐 6 ページ6
『ッあ…ふ…』
「……」
躾けた通りだ。接吻されたら黙って口を開けて舌を絡める。本当に私に対して従順である。
「…どうして君が泣くんだ。これはね、躾けだよ」
耳元で云うと肩を震わせる。嗚呼、涙なんて流されると加虐が煽られてしまうではないか。彼女はなんて余計なことをするんだ。
『____________』
「は?」
蚊の鳴くような声のつぶやきはしっかり私の耳に届いた。理性と云う名のリミッターを外したのは君だから、仕置を施さないとね。
_________
「_____い___太宰!」
「うわ、国木田くんかあ…何だい?」
「仕事を放棄し勝手に昼寝するなど仕事を何だと思っているんだ貴様は!」
場所は武装探偵社事務所の入ったビルの屋上である。半分寝ぼけている太宰に喝を入れる国木田。
こう見えても2人は2年ほど前から相棒だ。
「折角心地よい夢を見ていたと云うのにい」
「阿保か!夢など知らん!仕事に行くぞ」
太宰に虎探しの依頼だ、と付け足す国木田。太宰は気怠げに起き上がり軽く伸びをしてからのそのそと立ち上がった。
ビルの一階へ着くまでに国木田の説明があった。太宰は無論全て左から右だった。それでも国木田は熱心に説明をしていた。
昇降機の音がチン、と鳴り一階へ着いたことを告げる。建物から出たのは午後2時頃。
「と云うことで、日を重ねるごとに虎の被害は此方へ集中しており___何だその面は」
太宰はこちらの世界にはおらず未だ夢の世界にいゆのか完全にそちら側にいた。国木田は太宰の肩を捻った。コキ、と嫌な音がした。
「ったァ!」
「その顔を何とかしろ!何だって云うんだ…全く」
ようやくこちらの世界へと戻ってきた太宰は肩の関節を元に戻す。それに呆れたような疲れたような顔を見せる国木田。
そんな国木田の気持ちなどつゆ知らず、太宰は呑気に夢の話をした。
「昔飼っていた兎の夢を見ていたのだよ」
「は…?兎だと…?お前が…?」
しかし見事にその話題は釣られた国木田。太宰はうん、そうだよ。と返事をした。
(こいつが動物を飼っていたなんて…少しだけ興味があるぞ。否、本当に少しだけ…)
太宰は国木田のその思考を読み取ったかのように空の方を見た。
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桜雪(プロフ) - りかまるさん» コメントありがとうございます。応援してくださる方がいて本当に感謝してもしきれません。拙い物語ですがこれからもよろしくお願いします、! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - のら猫さん» 10分、、それはすごい、、!コメントありがとうございます!自分のペースで頑張ります! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - びあんさん» コメントありがとうございます。やっぱり小説を書くのってとても労力のいることだと思います。びあん様も同じ作者の身として無理のない程度に頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - sonataさん» ありがとうございます。sonata様の作品とても素敵でした、、!大好きだなんて言葉を頂けてとても嬉しいです。お互い頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
りかまる(プロフ) - ゆっくりでも大丈夫です。無理なく、執筆して頂けたらと思います。応援しています! (2019年3月24日 22時) (レス) id: dbac4f4de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜雪 | 作成日時:2018年12月29日 21時