けじめ ３４ ページ35
その声はやけに明るかった。何の記念だ？と織田が返したところ記念にさ、と薄く笑った。
「三人がここに集まった記念にね。何でもいいよ」
坂口は肩を竦め笑うと、幹部殿の仰せのままに。と写真機を取り出した。
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「今撮っておかないと、我々がこうやって集まったという事実を残すものが何もなくなるような気がしたんだよ。何となくね…」
太宰は焦点を合わせずに、また今後を全てを見透かしているかのようにただ数ある思い出を懐かしんでいるかのように微笑んだ。
夜が更けていく中で何百万とある灯もぼんやりとした青い月の光だけが嘘偽りもない本物だった。
もうすぐ季節は暖かくなるはずなのに空はすっかり冷え切っているのは何故だろうか。
今にも何か降って来そうなほど雲ひとつない空だった。
______
自宅謹慎、と云うものの流石に外出禁止という項目は無かったので護身用の銃やナイフ、仕事に関するもの、マフィアと云う肩書きそのものも全て家へ置いて外へ来た。
私は普通の16歳の女の子なのだと。
まだ街は眠っている。それが良いのだ。以前は仕事で早朝起きるのは億劫だったものの一時的に労働から解放された私は完全に自由の身だった。
目を閉じてすうっと息を吸い込む。
「櫻田幹部補佐！？」
と、声をかけられ目を開けると広津さんの部下が走って来た。
彼は私の目の前で一旦止まるとお辞儀をした。
『お疲れ様です。こんな所でどうしたんですか？』
彼の慌てぶりを見るとあまり引き止めるのも申し訳ないのだがこの焦りようは何だろう、と気になった。
「太宰幹部から飲み物を買ってくるように仰せつかりまして…その…」
『注文を忘れた、とか…？』
「いえ。そのような事は…」
『氷とカフェイン抜きのミルクと砂糖の量は倍のよく冷えた珈琲。ですよね？』
構成員は驚いた様な顔を見せた。そしてありがとうございます、と先程よりもっと深いお辞儀をした。
『引き止めてごめんなさい。この事は黙っておきます。気をつけてくださいね』
私は彼を一瞥し、見送った後また暫く歩き始めた。そこで土手に差し掛かった所で気がついた。
(そう云えば…先刻の人はこっちから来ていたから…)
くるりと進行方向を変えた。何だか太宰幹部の声が聞こえて来そうだ。
結局私がポートマフィアのことを忘れる時間なんて1秒たりとも無いのだな、とほんの少し神様を恨んだりしてみた。
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nemucan427(プロフ) - 桜雪さんはじめまして！この作品面白くて大好きです お手数ですがパスワードを教えていただけないでしょうか？ (9月1日 21時) (
レス) id: 8afaa5b029 (このIDを非表示/違反報告)
なずな(プロフ) - 桜雪さんはじめまして！とても面白かったですよろしければパスワードを教えて頂きたいです (2023年3月28日 11時) (レス) id: 77590b4a4c (このIDを非表示/違反報告)
アルルの「 」 - 太宰さんの歪んだ愛し方が本当に大好きです・・・！！ (2023年3月13日 1時) (レス) @page41 id: a35ce8017e (このIDを非表示/違反報告)
嶺亜(プロフ) - 桜雪さんはじめまして!!作品とても面白かったです。よろしければパスワード教えていただきたいです。よろしくお願いします。 (2023年2月5日 18時) (レス) @page10 id: be050932d4 (このIDを非表示/違反報告)
霞奈斗(プロフ) - この作品に出会ったばかりなのですが、とても面白く続きを読みたいです！パスワードを教えて頂くことは可能でしょうか...？( ˊᵕˋ ;) (2023年2月5日 8時) (レス) id: c32082b1c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜雪
| 作成日時：2018年3月29日 13時
