けじめ ３０ ページ31
無免許運転、ましてや未成年だなんて見つかったら日本の法律で厳しく罰せられる。
否、少年法でどうにかなるか。
って、そう云う問題じゃなくて！
(これは上司を送ると云う部下としての大事な仕事…！)
私は仕事と云い聞かせて本日何度目かのため息を吐く。
後部座席で気持ち良さそうに眠る太宰幹部。
カーナビに沿って暫く運転すると太宰幹部の住んでいるヨコハマの一等地の高層マンションが見えてくる。
申し訳なさが募ったがこれも仕事だ、と何度も何度も頭の中で繰り返し、車を停めると太宰幹部の懐から鍵を探す。
(待って、この人鍵持ってない____)
ポケットや長外套の何処を探しても出てくるのは財布位で他には何も持っていない。
太宰幹部は荷物が多い事を嫌い、鞄も持ち歩かない人だ。
『…ソファで寝るか』
ヨコハマの中でも物価の安い少々田舎の町はずれの所まで車を走らせる事數十分。
止むを得ず私の家まで連れて行く事にした。
大家さんに見つかったらどうなる事やら。
私は音を立てないように家に入り、太宰幹部の腕を肩に回し、担いだ。
細身とはいえこれでも太宰幹部も男性。
筋肉が少なく体術が丸っきし駄目な私にはかなりの重労働であった。
この家は１LDKなので寝室とリビングは別になっている。
寝室まで連れていき、長外套を脱がしてから寝台に寝かせる。
ほっ、と息を吐きクローゼットの中からハンガーを取りだす。
太宰幹部の方をみるとすやすやと眠っていた。
(起きて、ないよね…？)
『ふふ、太宰幹部の匂いがする』
私は長外套を抱きしめた。
『…』
が、２秒も経つとばっと長外套を離して顔を赤くした。
(何やってるんだ私_____！)
恥ずかしさを隠す様に太宰幹部の長外套をハンガーにかけ、そそくさと部屋を出ようとした。
「_____ねえ」
背後から声がかけられた。
待て待て、今この場にいるのは私と太宰幹部。
太宰幹部は寝ている筈。だがこの声は私が発したものではない。
でもこの声はよく聞き覚えのある声。
となると、1人しかいないわけで________
恐る恐る振り向くと、私の背筋は凍った。
「随分と可愛い事してくれるじゃあないか」
太宰幹部に今までの一部始終を全て見られていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1813人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
nemucan427(プロフ) - 桜雪さんはじめまして！この作品面白くて大好きです お手数ですがパスワードを教えていただけないでしょうか？ (9月1日 21時) (
レス) id: 8afaa5b029 (このIDを非表示/違反報告)
なずな(プロフ) - 桜雪さんはじめまして！とても面白かったですよろしければパスワードを教えて頂きたいです (2023年3月28日 11時) (レス) id: 77590b4a4c (このIDを非表示/違反報告)
アルルの「 」 - 太宰さんの歪んだ愛し方が本当に大好きです・・・！！ (2023年3月13日 1時) (レス) @page41 id: a35ce8017e (このIDを非表示/違反報告)
嶺亜(プロフ) - 桜雪さんはじめまして!!作品とても面白かったです。よろしければパスワード教えていただきたいです。よろしくお願いします。 (2023年2月5日 18時) (レス) @page10 id: be050932d4 (このIDを非表示/違反報告)
霞奈斗(プロフ) - この作品に出会ったばかりなのですが、とても面白く続きを読みたいです！パスワードを教えて頂くことは可能でしょうか...？( ˊᵕˋ ;) (2023年2月5日 8時) (レス) id: c32082b1c8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：桜雪
| 作成日時：2018年3月29日 13時
