【薄桜鬼】沖田総司とは私の弟分です！陸 (ページ5)

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遅かったページ5

その後も何発か銃声が聞こえてきて焦りもしたが、その音のおかげで戦闘が行われている場所を見失う事もなく、すぐに駆けつけることができたのだが

―――それでも間に合わなかった。

風体からして薩摩と思われる者たちに囲まれている新八と左之、その背に庇われている千鶴の姿も見えたが、それよりも千鶴の腕に支えられているその姿が気になった。

千鶴が膝をつき、目に涙を溜めて抱きしめているのは口から大量の血を吐いている平助だった。
・・・詳しく診なくても、もう助からないのがわかる。

「平助！！」

「A！？――お前、どうしてここに来た！！」

「銃声が聞こえてきたから・・・」

薩摩藩士を抜いた剣で牽制(けんせい)しながら左之たちに近づくと、影で見えていなかっただけか一の姿もあった。

そして、私の加勢に少し怯んだ薩摩藩士たちの間から、見知った顔が二つ現れた。

「何だ姫さん、ずいぶんと遅い到着じゃねえかよ」

「不知火。・・天野さんにご迷惑がかかるような呼び方はよしなさい」

「・・・姫さん？」

「何だお前ら知らねえで一緒にいたのか？そいつは――」

不知火が続きを口にする前に私は腰の脇差を投げつけた。

不知火が鬼でなかったら、きっと避ける事などできないくらいの力で投げつけたため、民家の壁に突き刺さった脇差は刃の根元まで通っていた。

それを見て不知火はピューゥと口笛を鳴らして感嘆の意を示し、新八と一と左之の三人は人間の力とは思えない力の強さに目をむいた。

「・・・不知火さん、口が軽いってのは人付き合いでは良いことかも知れないけど、こういう世界では命取りになるよ。それに、事情はいずれ話す予定だから放っておいて」

「っ・・・ほお、あんたそんな顔もできんのかよ。でもせっかくの美人が台無しだぜ？」

今私がどんな顔をしているかは大体想像できる。
・・・きっと、子供には向けられない顔をしている事だろう。

普段の私はめったに感情をむき出したりはしないが、今は状況が違う。
大切な仲間を傷つけられたんだ。今すぐにでも殺してやりたいという気持ちが押さえ切れず、表情に出ているのがわかる。

「わからなかった？―――帰れって言ってるの」

「不知火、ここは引きましょう。・・・彼女と事を交えるのは危険すぎる」

「ちっ――お前ら、帰るぞ」

不知火の号令と共に薩摩藩士たちは刀を納めて去って行った。

民家に刺さった脇差をそのままに、私たちは急ぎ平助を屯所へ連れ帰った。