第六感 ページ4
風呂敷に入っていた浅葱色の羽織を出して着て見せると、その頃には皆状況を理解してため息をもらしていた。
「なんだ、Aも潜入してたのかよ。くそっ、土方さんも人が悪いぜ!」
「なんにせよ、仲間を斬らずにすんだのはよかったぜ」
「そうだね。私も仲間に斬りかかられなくて安心したよ。・・で、作戦の概容(がいよう)を聞きたいんだけど」
どうやら伊東さんの遺体はそのままにして、御陵衛士を誘き出して斬るらしい。
私もそれに参加しようと思ったが、新八に「屯所が手薄だからそっちを頼む」と言われてしまってはどうしようもない。
一応御陵衛士である私が一人で屯所に戻れば、隊士たち(特に平隊士)に驚かれて斬りかかられかねないし、ちょうど帰路につこうとしているであろう近藤さんたちと共に屯所に戻る事にした。
屋敷に戻ると、ちょうど二人が出てきたところで、返り血を浴びた私を見て驚いた顔をしていたが、事情を説明したら共に屯所に帰ることを許可してくれた。
「・・・そうか、伊東さんを斬ったのか」
「なんにせよ、長い間の潜入と伊東さんの始末―――ご苦労だった。総司と過ごす時間を半年の間奪っちまった事、悪かったと思ってる」
「いえ、新選組のためなんですから気にしてませんよ。・・・伊東さん、最後は背中から斬っちゃったんで、あっさりとした最期でした」
「とりあえず屯所に帰ったら隊士たちに説明を――」
土方さんが今後のことを話し始めた瞬間―――静かだった市中に銃声が響いた。
・・・しかもだいぶ後ろの方、ちょうど新八たちのいた方角だ。
土方さんは近藤さんの背を押して帰路を急ごうと促した。
だが私はその場から動かずに真っ直ぐ新八たちのいる方角をにらむ。
「おいA、何してやがる!早く行くぞ!」
「・・・土方さん。私たちは銃なんて持ってませんし、御陵衛士も現段階で銃を所持していません。―――だとしたら、これって第三者が現れたってことですよね?」
「・・・!」
「お二人はこのまま行ってください。・・・私は新八たちのところへ行きます。幸い仲間割れしないようこの羽織がありますから、ご心配なく―――では!」
「おい!!」
背後で土方さんが呼ぶ声が聞こえた気がしたが、私は聞く耳なんて持たない。
頭の中を支配していたのはただ仲間を救いたいという思いと、かすかに、現実には存在しないが己の第六感が仲間の生命の危機を感じていた。
―――今はただ足を前に出す事に専念しよう。
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まんさ(プロフ) - justforyou7nanaさん» コメント、リクエストありがとうございます! 番外いいですね!作ってみたいと思います!(*'ω'*) さすがに18禁は制限がかかるので無理ですけどね笑 (2017年4月1日 10時) (レス) id: 9f423a56ec (このIDを非表示/違反報告)
justforyou7nana(プロフ) - この小説の番外編も見てみたいです!18 禁もみてみたいな笑 (2017年3月30日 8時) (レス) id: 4203d4d0a3 (このIDを非表示/違反報告)
まんさ(プロフ) - 弓 桜さん» ありがとうございます!嬉しいです! (2016年3月10日 21時) (レス) id: ab7e40fe20 (このIDを非表示/違反報告)
弓 桜(プロフ) - まんささん» 見に行きます♪ (2016年3月10日 20時) (レス) id: 484d75b51c (このIDを非表示/違反報告)
まんさ(プロフ) - 詩音舞さん» ありがとうございます! (2016年3月10日 19時) (レス) id: ab7e40fe20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まんさ | 作成日時:2015年8月4日 22時