【薄桜鬼】沖田総司とは私の弟分です！陸 (ページ20)

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おあついページ20

途中で花を摘むなどして、四半刻ほどかけて私の家にたどり着く事ができた。

馬を門の辺りで休ませ、ちょうど五年ぶりとなる実家に懐かしさを感じるとともにその綺麗さに目をむいた。

総司も手入れの行き届きようにいぶかしんでいる様子で、ご近所を回ってみるといつ帰ってきてもいいように毎日掃除をしていてくれたらしい。

今回は渡す土産も無くて申し訳ない、と伝えると皆笑顔で「いいんだよ」と口をそろえて言ってくださった。

もう一度実家に戻って水を汲み、二人で両親のお墓のある庭へと向かった。

十七年前とまったく変わらない姿で迎えてくれた二人は、前回とは違って二人で来た事に驚いた顔をしている事だろう。

墓石に水をかけ、花をそれぞれの墓前に供えて手を合わせると、前回同様土産話を始めた。

仲間ができた事。別れ。剣術が上達した事。鬼の自分を受け入れてくれた事。

「―――あ、そうだ。この人誰だかわかるかな？信じられないかもだけど、この人あのかわいくてちっちゃかった宗次郎なんだよ」

「その説明のしかた気に食わないな・・。
・・・どうも、ご無沙汰しています、おじさん、おばさん。
今は元服して"沖田総司"という名を貰いました。あと、娘さんも貰っちゃいました」

「ちょっと！そういう話は夫婦の契りとか交わしてからにしてよね」

「なに言ってるのさ。この前貰ってあげるって言ったじゃない」

「・・・・あー・・言ってたね」

去年の元旦の時に言っていたことを思い出す。・・すっかり忘れていたが。

総司も私の中途半端な返事に気がついたのだろう、ため息をこぼすと同時に私の肩を抱き寄せて「Aはどうなの？」と耳元に囁いた。

普段の彼の数倍甘い声が耳をくすぐり、鼓膜を揺らす。
ここが墓前という事も忘れて、お互いわずかに顔を染め合って黙った。

鳥のさえずりが聞こえなくなるくらいにうるさくなった心臓の音を抑えるように、胸辺りの衣服を掴むと私は総司の目を真っ直ぐに捉えて

「よ、よろしく、お願いします！」

「・・・っはは、なんだか泣きそうな気分だなあ。
僕の方こそよろしくね―――僕だけの、かわいい奥さん」