【薄桜鬼】沖田総司とは私の弟分です！陸 (ページ19)

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相乗りページ19

三月、新選組は甲陽鎮撫隊として甲府へ向かっていった。

ちょうど日野を通りかかると、近藤さんの故郷のようなものでもあるためか多くの人が近藤さんを筆頭に私たちを熱烈に歓迎してくれたのだ。

本来なら今日中にもう少し先の方まで進軍するつもりだったのだが、近藤さんが歓迎を無下にはできないと日野に一日留まると決めてしまった。

そのため、今夜は野宿しない代わりにたいして進軍する事ができなかった。

・・だいたい未の刻(午後二時)だろうか。
鐘を聴いていないから目分になるが、おそらくそのくらい。

ここに陣を構えて休む事になり皆は日野の人たちに案内されるがまま屋敷の中へと入っていってしまった。

自由時間を過ごしていいと解釈していいのだろうか。
・・・なら、私には行きたい場所があった。

一に「少し出てくる」と伝えると、私は四里(約15km)ほどの距離にある己の家へと歩き出した。

あまり遅くなると心配をかけるし、少し小走りで延々と続くあぜ道を進んでいると、後ろの方から馬の駆ける音がこちらへと近づいてきているのが聞こえた。

稲の苗を植えたばかりで視界を遮る物もないため"鯉の刺繍"が入った陣羽織を来たその姿はいとも簡単に確認する事ができる。

馬に乗ったその人は私の目の前まで駆けて来ると、馬を止めて少し不機嫌そうに顔をしかめながら私に手を伸ばした。

「まったく、勝手に陣を離れて行動しないでよね」

「ごめんごめん。でも、私がどこに行ったのかわかってたんだったら放っておいても良かったのに」

「結構遠いし歩いて行くのは大変でしょ。乗せてってあげるよ」

「ありがとう」

伸ばされた総司の手を掴むと、私の体は簡単に馬の上へと引っ張り上げられて彼の後ろへと乗せられる。

彼のおなかに腕を回すと、それが合図だったかのように馬が走り出した。