同伴 ページ12
閉ざされた障子の向こう側がぼんやり明るくなってきた。
目の前で規則正しい呼吸を繰り返す近藤さんは、もう心配は要らないだろう。
後ろを振り返ると、今しがた起きたのか総司が天井をぼうっと見つめていた。
「おはよう。よく眠れた?」
「・・・っ!近藤さんは!?」
「大丈夫だよ。出血もそう多くはなかったし、今は安定してる」
「・・・そう、よかった」
勢いよく起き上がり、私に詰め寄る総司に今一番欲しいであろう言葉を伝えると、切羽詰ったその表情も緩んだ。
・・・だが、このまま近藤さんを御所に置いておくのは難しい。
近々土方さんが比較的安全な地へと護送することを決定するだろう。
「総司、まだ外は夜明け前なんだし寝てなよ。顔色があまりよくないよ」
「うん、そうだね。・・・ここじゃ、邪魔になっちゃうよね?」
「ここでも自室でも、好きなところでどうぞ」
「ありがとう」
「―――おやすみ」
近藤さんと同様、規則正しい呼吸をしながら眠りについた総司の寝顔は、先ほどまでと比べていくらか安らいで見えた。
その日の正午。
近藤さんの護送が決定され、その同伴者兼護衛として私と総司が抜擢された。
「・・僕に、戦場から離れろというんですか?」
「なんだ、近藤さんの護衛役は不満か?」
「そういうわけじゃないですけど、こんな、いつ戦が起きてもおかしくない時に組長の僕が外される理由が聞きたいんです」
「・・・戦は、俺たちが今までやってきた捕り物とはわけが違う。お前一人が強くてもどうにもならねえ―――だが、近藤さん一人の護衛となれば強い奴が二人いれば何とか事足りるだろう」
「・・・わかりました。でも、今度は除け者にしないでくださいよ」
「しねえよ。いいから明日出立だ、準備をしておけ」
総司は多くないであろう己の荷物をまとめに退室して行った。
不動堂村の屯所よりも狭い広間でいつもの喧嘩が始まると幹部全員が危惧していたのだが、今回は二人とも落ち着いた様子で静かに解決した。
・・・これは、土方さんも総司もそんな事をしている余裕がないという事なのか、大人になったのかは判断がつかない。
「A、お前は異論はねえか」
「本来私は医者として力を尽くせ、と会津から命を受けてきてますから、なにも」
「お前には、いつも苦労をかける」
「苦労なんてしてませんよ。・・・じゃあ、私も荷物をまとめてきます」
翌日、私たちは近藤さんと共に御所を出て、大坂城へと向かった。
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まんさ(プロフ) - justforyou7nanaさん» コメント、リクエストありがとうございます! 番外いいですね!作ってみたいと思います!(*'ω'*) さすがに18禁は制限がかかるので無理ですけどね笑 (2017年4月1日 10時) (レス) id: 9f423a56ec (このIDを非表示/違反報告)
justforyou7nana(プロフ) - この小説の番外編も見てみたいです!18 禁もみてみたいな笑 (2017年3月30日 8時) (レス) id: 4203d4d0a3 (このIDを非表示/違反報告)
まんさ(プロフ) - 弓 桜さん» ありがとうございます!嬉しいです! (2016年3月10日 21時) (レス) id: ab7e40fe20 (このIDを非表示/違反報告)
弓 桜(プロフ) - まんささん» 見に行きます♪ (2016年3月10日 20時) (レス) id: 484d75b51c (このIDを非表示/違反報告)
まんさ(プロフ) - 詩音舞さん» ありがとうございます! (2016年3月10日 19時) (レス) id: ab7e40fe20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まんさ | 作成日時:2015年8月4日 22時