【薄桜鬼】沖田総司とは私の弟分です！陸 (ページ11)

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焼き鏝ページ11

私は座り込んだ総司のいまだ現実ではないどこかに浮いてしまっている思考を戻すため、包み込むようにそっと、かつしっかりと離れないように抱きしめて、耳元に諭すように語りかけた。

「殴ってしまってごめんなさい。・・でもね総司、今近藤さんはとても危険な状況にある。
傷が回復したとして、それを敵が知って、襲ってくる可能性も高まるかもしれない。
―――そんな今、総司がすべき最善な行動は何？」

「御所を、守る事―――」

「そう。ここを守る事が、今あなたが近藤さんにできる事の一つ」

「・・もう一つあるの？」

「近藤さんの止血の手伝いをしてくれないかな？」

「うん・・！」

体を離すと、先ほどとは打って変わって総司の目はちゃんと前を向いていた。
・・・これならもう心配は要らないはずだ。

土方さんに現場の捜索を命じられた新八と左之は自分の隊を引き連れて出て行き、護衛についていた隊士たちも明日に備えて自分の部屋へと戻って行った。

そんな中、治療室に残っていたのは総司、一、山崎君、千鶴、源さんに土方さんに島田君だ。

源さんと千鶴には包帯や手ぬぐいの準備をしてもらい、総司と一に近藤さんの体を押さえるように指示すると、山崎君から受け取った焼き鏝を銃傷に当てた。

物が焼け焦げるような音と共に、肉の焼ける不快な臭い、そして苦痛に顔をゆがめて呻く近藤さんの声。

総司からしたら耳や目を塞ぎたくなるかも知れないが、彼はまるで自分が焼かれているかの様に苦し気な表情をしながらも近藤さんが動かないように押さえ続けてくれた。

そのかいあって無事に止血は終わり、後は今夜の峠を越えることができるかの問題となった。
・・・あとは、近藤さん自身の体力の問題だ。

山崎君や千鶴にはもう休むように言って退室させ、土方さんたちもこれからのことについて考えねば、と退室し、ここには眠っている近藤さんと総司と私が残っていて、後は私がついているからと疲れた顔をしている総司に休むよう言っても、彼は首を振るのみだ。

「・・・ここにいたい。ちゃんと明日の警備もするから、ここにいさせて」

「じゃあせめて寝てて。そんな疲れた顔の人に徹夜なんてさせられないよ」

「・・・Aだって疲れてるでしょ」

「私は明日警備に就かないし、日中にでも寝ちゃうからいいの」

その後嫌がる総司を無理矢理寝かしつけ、私は一晩中近藤さんの看病に当たった。