犬猿の仲 ページ6
声を聞いて振り向くと、総司が立っていた。
彼は土方さんにについて山崎君が語っていた時からいたらしい。
彼は刺の含んだ声音で山崎君に、土方さんについて好き放題に皮肉を言い続けるからさすがに止めざるをえない。
「総司、いい加減にしなよ」
「はーい・・・すみません、Aさん。
・・・尊敬する相手は間違えない方がいいよ、山崎君」
「それは・・・どういう意味ですか」
「さあね、好きに解釈して。それじゃ、僕はもう行くから」
そういい残して総司は歩いていった。
いったい、なにがしたかったのかがわからない。
「・・・ごめんね山崎君、あの子変わってるから。私もだけどね」
冗談めかして言いながら山崎君の方を向くと、彼は総司の消えた方を睨みつけていた。
どんな場所でも、反りの合わない相手はいるっていうけど。
・・・山崎君と総司がそれらしかった。
それからは広間に戻ったが、ほとんどの人間が潰れていて、運ぶのも面倒くさいし布団だけかけておいて、私も自室に戻ろうとしたが先ほどの総司の言動が気がかりで、部屋に寄ってみたけどいない。
もしやと思い壬生寺に行くと、そこには熱心に木刀を振る彼の姿。
宴会をした日くらい稽古を休んだらいいのに・・・。
近づくと、私に気づいて木刀を振るのを止め、人懐っこそうな子供っぽい笑顔を向けてくる。
「Aさん、どうしたんです?」
「部屋にいないから探しに来たんだけど・・・熱心だね」
「もっと強くなって、近藤さんの役にたちたいから・・・そして―――Aさんを護れるようになるためです!」
「・・・なんで護りたいの?」
そう聞くと、驚いた顔をして
「昔も言いましたけど僕は貴方にたくさん助けられたんです・・・だから今度は僕が、Aさんを助けたい!」
「恩返し・・・?」
「それもあると思います・・・けど」
「けど?」
「・・・それは、僕がAさんから一本取った時に言います。
だから、待っててください!」
「いや、待つって・・・ちょっと!?」
言うだけ言って総司は走って行ってしまった。
・・・総司という存在がよくわからなくなった一日だった。
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薄夜 - うん。面白いね。再新、頑張って (2014年10月10日 19時) (レス) id: 3978161a67 (このIDを非表示/違反報告)
クルエル(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも更新頑張ってください♪(*^_^*) (2014年10月5日 23時) (携帯から) (レス) id: 3cb9714877 (このIDを非表示/違反報告)
まんさ(プロフ) - 練蓮さん» ありがとうございます(*^-^*)精一杯頑張らせていただきます! (2014年10月5日 22時) (レス) id: 2db9cb813e (このIDを非表示/違反報告)
練蓮(プロフ) - 続編おめでとうございます!更新楽しみに待ってます(*^◯^*)頑張って下さい!!! (2014年10月5日 17時) (レス) id: ddc6e25d6f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まんさ | 作成日時:2014年10月5日 14時