歓迎会 ページ5
歓迎会が始まり、幹部の馬鹿三人が早速騒ぎ始め、じきには呑み比べまで始まっていた。
私は皆みたいにはしゃげるほど酔えないし、部屋の角で一人、静かに見守っていたのだが・・・
さっき席を立った山崎君が戻ってきていなかった事に気づく。
気になって広間を出ると、出てすぐの縁側に腰掛けていたから安心した。
「歓迎会、つまらない?」
「あっ、貴方は確か・・・」
「天野Aだよ。よろしくね山崎君」
「は、はい・・・」
「・・・で、つまらなかった?」
彼の隣に腰掛けて再度質問すると、彼は慌てたように答える。
「どうも、ああいう場は苦手で・・・すみません」
「なるほどね」
「隊務をこなしていく上で、親睦を深めていくのは大切なんでしょうが・・・」
「苦手なら仕方ないよ、そこはおいおい慣れていけばいい」
「天野さんは、戻らなくていいのですか?」
「涼みに来ただけだし、少ししたら戻るよ」
そして心地の良い沈黙が続いた。
けれどふいに、山崎君が独り言のように小さな声で話しかけてきた。
「・・・なぜ、貴方のような女性が浪士組に入ったのですか?」
「会津藩の命で、医者として入ったの」
「斬り合いをする可能性も高いのに、命が下ったんですか?」
「私も、他の隊士たちや君らと同じ・・・命知らずだし、腕に覚えもある。
だから選ばれたんだろうし、それでよかったとも思ってるよ」
久しぶりに自分の心の内を他人に話した気もする・・・。
「君はどうして入ったの?」と聞き返すと彼は難しい顔で話してくれた。
「俺は鍼医者(はりいしゃ)の息子でしたが、俺は武士になりたかったんです。
今までは武士の真似事ばかりしてきました・・・でもある日、浪士組に百姓生まれの方がいると聞いて入隊したんです。」
彼は「入隊してよかった」と語ってくれた。
なんでも、土方さんに「どんな身分の者でも武士として扱う」と言われたらしく、それがとても嬉しかったらしい。
熱のこもっていく彼の話に耳を傾けていると、よく知る声が聞こえてきた。
「武士として扱われるのって、いいことばかりじゃないと思うけどね」
「・・・総司」
そこには沖田総司が立っていた。
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薄夜 - うん。面白いね。再新、頑張って (2014年10月10日 19時) (レス) id: 3978161a67 (このIDを非表示/違反報告)
クルエル(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも更新頑張ってください♪(*^_^*) (2014年10月5日 23時) (携帯から) (レス) id: 3cb9714877 (このIDを非表示/違反報告)
まんさ(プロフ) - 練蓮さん» ありがとうございます(*^-^*)精一杯頑張らせていただきます! (2014年10月5日 22時) (レス) id: 2db9cb813e (このIDを非表示/違反報告)
練蓮(プロフ) - 続編おめでとうございます!更新楽しみに待ってます(*^◯^*)頑張って下さい!!! (2014年10月5日 17時) (レス) id: ddc6e25d6f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まんさ | 作成日時:2014年10月5日 14時