【薄桜鬼】沖田総司とは私の弟分です！ 弐

やりきれない ページ40

相撲の興行の準備といっても、
女の私にはあまり手伝わせてくれないのが現実だ。

暇なときに皆の分の食事を用意したり、掃除や繕い物など
基本的に家事の仕事ばかりが押し寄せてきて、
土方さんの仕事具合を見に行けないのが残念でしかたない。

もし仕事が溜まっているのなら、私も手伝ってあげたいのに。



総司の方にも、本当なら様子見に行きたいところだが、
わりと忙しいのと総司とまったくすれ違うことがないのとで
会えない。


『―――総司には天賦の才がある。A、お前もだ。
あいつには、Aのように志の為に、剣を振るってほしい！』


近藤さんの言葉、総司の耳に入っていいなければいいけど・・・。

私も総司も、志なんてものはない。
近藤さんは私のことを勘違いしているようだけど、
私は皆の為に、総司は近藤さんの為に力を尽くしていきたいだけ。
―――そこに志なんてものは必要ないんだ。

近藤さんは私たちにそれを求めているけれど、
きっと近藤さんはそれが持てない人間の感覚がわからないだろうね。




なんだかやりきれない思いにため息を一つつくと、
残っている家事に精を出すのだった。

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