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非番の午後 ページ39

「まてーっ!」

「うわわっ!あっぶねえ!!」


通りの端で、子供たちが鬼ごっこをしている。
遊びに夢中になっているようで、元気で大きな声が通りによく響く。

京の町も、江戸の町も、外国の町も、子供の元気さに関しては
変わりないようだ。

外国ではよく遊んだなー・・・。



しばらく散歩を続けた私たちは、手ごろなお値段の茶屋を見つけ
私の奢り(おごり)として入った。

―――ただ、総司は私の"奢り"なのが気に食わないらしい。


「・・・」

「さっきからなにむくれてんの・・・」

「・・・Aさんに奢ってもらうなんて、
男として情けないんです」

「私は会津藩の直属扱いだからお給金貰ってるし、
こういう時は、年上の人間が奢るのは当たり前でしょ?
―――それと、好意には甘えとくものだよ。覚えておきな」

「・・・お説教ですか」

「教育だよ、世渡りに役立つから教えてるの」


「教育」の言葉に心底嫌そうな顔をした後、ある程度気がすんだのか
―――それとも団子が来たからか、御満悦(ごまんえつ)な表情に変わる。

ここ最近は特に、甘い物を食べられるような状況じゃなかったし、
さらに彼は甘い物好きなこともあってか、団子を心底美味しそうに
頬張る姿はまさに「大きな子供」だった。


「―――おいしい?」

「はい!・・・甘い物なんて久しぶりです」

「だろうね・・・あ、そうそう。皆には内緒だからね?」

「はははっ、特に新八さんたちに色々と言われそうですしね」

「ふふっ―――たしかに。どんな反応するか、大体想像つくよ」


今日は本当に和む一日だったな・・・。

勇太郎の勉強を見て、総司との散歩でいろんな抜け道見つけて、
道に迷いながら探検して―――普段の命のやり取りから離れて。

普通の町人のように過ごす一日もいいものだ。
私の見たかったものも見れたし、総司には感謝しなくちゃ。


「さて、と。そろそろ帰ろうか、土方さんに怒られたくないし」

「そうですね。―――今日はご馳走様でした!」

「うん。・・・また二人で来ようか」

「はい!・・・でも、今度は僕が奢りたいです」

「それは楽しみだなー。頑張ってね!」


そうして仲睦(むつ)まじく歩いて行く二人は、端(はた)から見れば
本当の姉弟に見えたことだろう。
―――もしくは恋仲の者たちにも見えたやも知れない。






こうして、私の非番は終わりを告げた。

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薄夜 - うん。面白いね。再新、頑張って (2014年10月10日 19時) (レス) id: 3978161a67 (このIDを非表示/違反報告)
クルエル(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも更新頑張ってください♪(*^_^*) (2014年10月5日 23時) (携帯から) (レス) id: 3cb9714877 (このIDを非表示/違反報告)
まんさ(プロフ) - 練蓮さん» ありがとうございます(*^-^*)精一杯頑張らせていただきます! (2014年10月5日 22時) (レス) id: 2db9cb813e (このIDを非表示/違反報告)
練蓮(プロフ) - 続編おめでとうございます!更新楽しみに待ってます(*^◯^*)頑張って下さい!!! (2014年10月5日 17時) (レス) id: ddc6e25d6f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まんさ | 作成日時:2014年10月5日 14時

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