検索窓
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:73,637 hit

監察方 ページ32

土方さんの部屋で茶を入れて待っていると、
程なくして呼び出したご本人がやってきた。


「わりいな、待たせちまって。
・・・お、茶まで入れててくれたのか。ありがとよ」

「はい。で、用件はなんですか?」

「おう―――入れ」


土方さんの掛け声とともに入ってきたのは二人の隊士だった。

この間―――二月ほど前に新しい隊士が入隊した時、私がなんとなしに
目をつけた島田魁、山崎烝だった。


「島田君に山崎君・・・」

「ああ―――今はこいつらが監察方をまとめてる。
監察の本当の仕事だが・・・浪士組の内部を探り、暗殺や潜入、
斬り合いより危険で汚ねえ仕事をしてもらうのが監察だ」

「浪士組の汚れ役ですか・・・まあ、必要でしょうね。
でも、なぜ私に話したんですか?
場所を変えるということは、皆にはあまり知られたくないんでしょう?」


私の言葉にあからさまに顔をしかめた土方さんは、
一つ呼吸を置くと怖い顔で私をまっすぐ見た。


「A、お前にこいつら監察方の組長をしてもらいたい」

「組長って―――私に彼らをまとめろと?」

「そうだ。・・・お前らも、こいつの実力を考えりゃ、異論はねえだろ?」

「「はい!」」


今まで置物のように座ったまま動かず、
一言も発っさなかった二人が同時に返事をした。

それに驚きつつも、そもそもこの二人とともに稽古した覚えがない。
それなのに私の実力は知れているのか不安だ。

頭(かしら)に不信感を抱いている隊ほどもろい物はない。
だからこそ、ここは慎重に事を運ばなくてはならないのだ。


「私の実力と言っても、なにをどの程度見たんですか?」

「剣術は、副長に稽古姿をよく見て置くように言われて一週間ほど
見させていただきましたが、かなりの実力者だと心得ています」

「一週間・・・。そういえば、何人かいつもと違う人が混じってたっけ」


島田君の一言に、そんなに前から事は進められていたのだと痛感する。

それに追い討ちをかけるかのごとく、山崎君も、土方さんも、
私の技能について見てきた結果を語りだす。
・・・もう、止めてほしい。




―――結局、私は監察方の取りまとめ役、組長として
活動することになった。

私の仕事→←仕切り役



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (64 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
128人がお気に入り
設定タグ:薄桜鬼 , 沖田総司
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

薄夜 - うん。面白いね。再新、頑張って (2014年10月10日 19時) (レス) id: 3978161a67 (このIDを非表示/違反報告)
クルエル(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも更新頑張ってください♪(*^_^*) (2014年10月5日 23時) (携帯から) (レス) id: 3cb9714877 (このIDを非表示/違反報告)
まんさ(プロフ) - 練蓮さん» ありがとうございます(*^-^*)精一杯頑張らせていただきます! (2014年10月5日 22時) (レス) id: 2db9cb813e (このIDを非表示/違反報告)
練蓮(プロフ) - 続編おめでとうございます!更新楽しみに待ってます(*^◯^*)頑張って下さい!!! (2014年10月5日 17時) (レス) id: ddc6e25d6f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まんさ | 作成日時:2014年10月5日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。