責任 ページ11
次の日の夕刻。
出張に行っていた浪士組の隊士たちが屯所に戻ってきていた。
今は幹部が集まって広間で報告をしている。
―――だが、報告された内容は酷いものだった。
「力士と乱闘騒ぎを起こして、怪我をさせただと・・・!?」
土方さんは酷く青ざめた顔で芹沢さんをにらみつけたが、芹沢さん本人は涼しい顔で「道を開けなかったから罰を与えた」と言うのだった。
その後も話しは続いたが、芹沢さんの論は間違っているわけでないのも事実。
いつも通り、一方的に話を切り上げて芹沢さんは去っていった。
事の始末まで押し付けられて、悔しさに皆が俯く中沈黙を続けていた総司が顔を上げた。
「・・・ごめんなさい、近藤さん。
僕が力士を斬ったせいで、こんなことになって」
言い方は子供の様だったけれど、総司なりに、考えた末の謝罪の言葉だろう。
いつものような余裕のある表情ではなく、沈みきった声をしていた。
その声に「君だけの責任ではありません」と山南さんがいたわる様な言葉をかけるが、総司の悲痛な表情は和らがなかった。
近藤さんも総司に対して激怒したらしい事について謝罪をするが、それでも彼は俯き、そして驚くべき事を言った。
「士道不覚悟は、切腹なんですよね?
・・・これだけ迷惑をかけたんだから――僕、切腹します」
「なっ・・・!?」
総司がなにを言ったのか、一瞬わからず私も、皆も動揺していた。
近藤さんも、他の幹部も、皆総司を説得するが彼の決意めいた表情は変わらない。
「浪士組に迷惑をかけた僕にできることなんて、これくらいしかありませんから・・・せめて、責任ぐらいは―――」
「いい加減にしろ、総司!!
てめえの腹ごときで、騒ぎを収められるはずねえだろうが!
・・・もう、事はそんなんで収められるほどの大きさじゃなくなっちまってるんだよ!!」
土方さんの怒号に、ざわついていた場は水を打ったかのように静まりかえり、そして皆の視線が土方さんに集中した。
「騒ぎを起こすだけ起こして【切腹します】だ?
どいつもこいつも―――後始末させられる方の身にもなってみやがれ!」
そう吐き捨てると、彼は一歩一歩、床板を踏みつけるようにして苛立たしげに部屋を出て行った。
そして、近藤さんも「トシのことは任せてくれ」と言って土方さんの後を追ったのだった。
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薄夜 - うん。面白いね。再新、頑張って (2014年10月10日 19時) (レス) id: 3978161a67 (このIDを非表示/違反報告)
クルエル(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも更新頑張ってください♪(*^_^*) (2014年10月5日 23時) (携帯から) (レス) id: 3cb9714877 (このIDを非表示/違反報告)
まんさ(プロフ) - 練蓮さん» ありがとうございます(*^-^*)精一杯頑張らせていただきます! (2014年10月5日 22時) (レス) id: 2db9cb813e (このIDを非表示/違反報告)
練蓮(プロフ) - 続編おめでとうございます!更新楽しみに待ってます(*^◯^*)頑張って下さい!!! (2014年10月5日 17時) (レス) id: ddc6e25d6f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まんさ | 作成日時:2014年10月5日 14時