上覧試合 其ノ一 ページ40
翌朝、会津藩本陣である金戒光明寺にて、上覧試合が開催された。
試合をする面々は、重役に着いて行くことになり、その際に私も呼ばれた。
「天野、そなたは怪我人の手当てといったところか」
「はい、そうですが」
「上様の身になにかあった時、対応してもらわねばならぬゆえ、ここに待機願おう」
そう言って通されたのは試合の準備をするところから少し離れた場所。
ここならば上様の様子も見えるし、即座に対応もできるだろう。
全三試合中の第一試合は土方さん対平助。
鶺鴒(せきれい)の剣という、北辰一刀流の動き。
常に動くことでための動作を悟られないようにしたものだ。
平助はその動きをつかって土方さんににじり寄っていく。
そして、打ち合いが始まった―――
「あ〜・・・負けちまったか。もうちょっとだったんだけどなあ・・・」
試合の勝者は土方さんで、平助は右目に木刀を受けたということで
私のところにやってきた。
ちょっと腫れているだけだし、視力には問題なさそうでよかった・・。
「次は一くんとしんぱっつぁんの試合か。・・・へへっ、すげえ試合が見れそうだな!」
「そうだね・・・」
平助の右目を冷やしながら、所定の位置に立った二人を見つめる。
二人とも高揚しているらしく、礼の動作すら煩わしそうにしている。
二人の顔には「早く打ち合いたい」とはっきり書かれていた。
「それでは―――始め!」
審判をつとめる藩士の声が響くと、高揚気味だった表情も最高潮に達し、瞬きや息をすることも忘れてしまいそうなすさまじい試合が行われた。
「そこまで!!勝者、斎藤!」
結果は一の勝ちだけど、新八が決して弱かったわけではなく、二人とも互角だった。
なんにせよ、この試合はすごかった。
「・・・次は、総司たちだな」
「総司・・・」
心の中で「勝て!」と念じつつ、彼の姿を見つめ続けた。
「それでは―――始め!」
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まんさ(プロフ) - MMさん» 面白いなんて、とても嬉しいです! (2016年3月10日 21時) (レス) id: ab7e40fe20 (このIDを非表示/違反報告)
MM(プロフ) - どっちも面白すぎて、ヤバイです(^O^) (2016年3月6日 23時) (レス) id: db2d6bf4c4 (このIDを非表示/違反報告)
まんさ(プロフ) - MMさん» こちらも見に来ていただけるとは!ありがとうございます! (2016年3月6日 23時) (レス) id: ab7e40fe20 (このIDを非表示/違反報告)
MM(プロフ) - 沖田かっこいい(#^.^#)小説めっちゃ面白い! (2016年3月6日 23時) (レス) id: db2d6bf4c4 (このIDを非表示/違反報告)
まんさ(プロフ) - はるかさん» ご指摘ありがとうございます!本編では"総司"のままだった気がしたのでそのままにしたのですが・・・。一応直しておきます!これからもこの小説を温かい目で読んでやってください(´ω`) (2015年3月25日 7時) (レス) id: 647a4018e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まんさ | 作成日時:2014年8月14日 22時