【薄桜鬼】沖田総司とは私の弟分です！

鬼となれ ページ35

大坂で予想もしていなかったことを目にすることとなった。



―――それは芹沢さんの資金調達の方法だった。

お金に余裕のありそうな店に入り、資金提供を求める・・・そこまではよかった。
断られると、諦めるどころか応対をしていた番頭さんを殴り、半ば無理矢理に資金を強奪して言ったのだ。

それはそこらの不逞浪士らとなんら変わらなかった。


芹沢さんの行動に対し土方さんは憤りを隠せなかったが、新見さんに「自分で資金調達ができるのか」と言われると何も言い返せなかった。


「お前たちは、悪役を演じるだけの覚悟を持っておらんのだな」

「なんだと・・・！？」


芹沢さんの物言いに目をそば立てる土方さんだったが、当の芹沢さんは鉄扇で扇ぐような仕草をしながら涼しい顔で続けた。


「武士とは町民の顔色をうかがっていてはつとまらんのだぞ。
敬われ、恐れられるようにならねばな。
特に、これから不逞浪士と渡り合っていくのならなおさら―――やつらに恐れられる鬼にならねばならん」


芹沢さんの一言には聞き覚えがあった。

外国で私に医学を教えてくださった先生も、「医者は患者に対して優しい存在であってはならない」と言っていたから。

なんでも、医者が優しくなんでも与えると、病が治っても動けなくなる患者が
できてしまうらしい。

「・・・だから、いつでも厳しく接しなさい」

あのときの先生の厳しい表情は今でも覚えてる。

私はそういう医者にはなりたいとは思わないけど、ね。


芹沢さんの「鬼」と言う言葉に対し、なぜか考え込んでしまった土方さんはそれっきり、一言も発しようとはしなかった。

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