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迷子 ページ27

―――しばらくして

私は食事を済ませて、今朝から体調を崩している一人の隊士の看病のために広間を後にした。

私は熱を出ている隊士に栄養のあるものを取らせ、ある程度の看病をすまし、広間に向かって歩いていた。

広間付近の廊下を歩いていると、総司と思わしき怒鳴り声が聞こえてきた。


『―――嫌です!』

『僕は―――絶対に帰りませんよ!
ここに残って、近藤さんの役に立ってみせますから!』


その声が聞こえてきたと同時に、襖の開く音とこちらに向かって走ってくる足音が聞こえてくる。

そう感じてすぐに怒声の主が前も見ずに走ってきて・・・ぶつかった。

私は倒れることはなかったが、総司もいつもなら耐えられるはずなのによろけてしりもちをつき、その場でうつむいていた。


「ごめん、前を見ていなくて・・・」

「僕は・・・っ」


とりあえず謝って手を差し伸べたが、それに彼は答えず勢いよく立ち上がって暗い廊下を駆けていった。

走り去る彼の背は、いつものような余裕さがなく、まるで不安げに縮こまっている迷子のように小さな物に見えた。








広間に行くと、そこにはお通夜のような静けさが広がっていた。

皆箸を止め、うつむいている。
・・・一は黙々と食べているけど。

とりあえず平助に事情を聞くと、芹沢さんから悪影響を受けるから江戸に帰れと言われたこと、近藤さんも同意したということを聞いた。


それを聞いて、私はいても立ってもいられずに立ち上がって外へ出ようとするが土方さんがそれを制する。


「今は一人にしておけ、あいつも自分じゃなにも考えられねえ子供じゃねえんだ」

「べつに、励ましに行くんじゃありません、丸腰でしょうから刀を届けに行くだけですよ・・・今の京は、治安が悪いですからね」


そう言って私は総司の部屋へと行き、やはり残されていた彼の刀を取る。



―――それから自室へ自分の刀を取りに行き、昼間と違い、闇に包まれて不気味な静けさの放つ京の街へと歩き出した。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
亀更新ですみません・・・

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まんさ(プロフ) - MMさん» 面白いなんて、とても嬉しいです! (2016年3月10日 21時) (レス) id: ab7e40fe20 (このIDを非表示/違反報告)
MM(プロフ) - どっちも面白すぎて、ヤバイです(^O^) (2016年3月6日 23時) (レス) id: db2d6bf4c4 (このIDを非表示/違反報告)
まんさ(プロフ) - MMさん» こちらも見に来ていただけるとは!ありがとうございます! (2016年3月6日 23時) (レス) id: ab7e40fe20 (このIDを非表示/違反報告)
MM(プロフ) - 沖田かっこいい(#^.^#)小説めっちゃ面白い! (2016年3月6日 23時) (レス) id: db2d6bf4c4 (このIDを非表示/違反報告)
まんさ(プロフ) - はるかさん» ご指摘ありがとうございます!本編では"総司"のままだった気がしたのでそのままにしたのですが・・・。一応直しておきます!これからもこの小説を温かい目で読んでやってください(´ω`) (2015年3月25日 7時) (レス) id: 647a4018e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まんさ | 作成日時:2014年8月14日 22時

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